第12話 スカート丈が短すぎます③
言われてみれば、篠田さんの横には、必ず増田 沙羅さんがいました。――
真逆な質の二人。職員室でも、度々話題になったものです。
「増田と篠田さん、今日も一緒に昼食食べてるわね」
「本当に仲がいいのよね……篠田さん、折角真面目ないい子なのに、増田さんに影響されないといいけど」
「『腐ったミカン』じゃないけどね……」
定年間近・時代遅れ教師の私が言うのもおかしいのですが、今時そのようなことを言う教師がいることに驚きましたよ。真面目な生徒と、やや身なりの派手な生徒が関わることが許されないなんて、おかしいのではないでしょうか。
それに、増田さんは校内で成績はトップ。腐ったミカンだなんて言われる筋合いはないのです。
教師がそのような心持ちでいるからでしょうか、生徒の間にも彼女たちが一緒にいることを悪く言う者が多かったと記憶しております。
そんな二人が、恋仲にあるなんて、誰が思ったでしょうか。――あれは、高校一年生の秋口だったでしょうか。朝、職員室の自分の席に着くと、教頭が走りよってきたのを思い出します。
「斎藤先生! ――あなたのクラス、一体どうなってるのですか」
あまりの剣幕に、私は面食らった。ただ、教頭先生は、少々心配性が過ぎるところがあったので、「また教頭先生が慌てていらっしゃる」くらいの心持ちで振り返ったのです。
「この動画をご覧ください」
そう言って、彼女は不器用そうにスマートフォンの画面を操作した。――某有名動画投稿サイト。
「……これは」
画面に映っていたのは、口づけを交わす、二人の女子生徒――増田さんと、篠田さんだった。
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