6月の恋

@king0804

第1話 運命の日

その日、初めて俺は本当の恋を知った...。


俺の名前は桜田 優希。

今年の春に大阪に引っ越してきた何の取り柄もないただの高校一年。

中学の頃から友達もいないわけではないが多いわけでもなく、多少バカやったりもして悪さもしたけど全てにおいて中途半端だ。


「早く起きなさい!」


母親だ。

小学生の時から俺は一人で起きることがどうもできない。

目覚まし時計はセットしてあるはずなのだが、いつの間にか二度寝している。

ただ、起きる努力をする気もない。


桜川高校。

ここが俺の通っている高校だ。

1時間目が8時50分からなので毎日8時前には登校している。

嘘だ。本当は始まるぎりぎり3分前くらいに学校についている。

そしていつも1時間目が始まると寝ている。


キンコンカンコーン...

最後の授業のチャイムがなり終礼がおわると、いつも少しクラスの友達と喋り自転車で家まで帰る。

たぶんこの世界で唯一幸せな時があるとすればそれはこの瞬間だ。

まあ多少言い過ぎな所はあるかもしれないが。

いつも帰りの自転車に乗りながら俺は歌を歌っている。

昔から歌手だけは人よりも多く知っていて、ロックばかり聴いてきた。

アイドルやいわゆる皆が好む用な曲には興味がなかった。


そして家に帰ると決まってLINEをチェックする。

これは必ずといっていいほどの日課だ。

きっとこれはほとんどの人に共通できることなのだろうが。


その日もいつもと変わらずLINEを開くと中学の時の女友達からメッセージが届いていた。


「ねえ、あんたのLINE知りたいっていってる女の子いるんだけど。教えていい?」


「いいよ。」


少し前に彼女がほしいとその女友達に相談したところ、あんたの写メくれたらいい人探しといてあげるよといっていた時のやつだとその時すぐにわかった。

今思うと違う探し方はいくらでもあったと思う。


そして紹介された女の子の名前は岡本 明。


この時、俺の人生の中でこの人が凄く大きな存在になることなんて予想もしていなかった...。


俺はその子の連絡先をもらいすぐに挨拶をした。


「よろしく!名前は優希って言います!!」


「よろしくお願いします(^_^)私は明っていいます!」


この子は俺と同じ高校1年だと教えてもらっていたので気軽に挨拶できた。


俺「わかった!じゃあ明って呼ぶね!

俺の事も優希って呼んで!」


明「わかりました!」


俺「後、同い年だし敬語じゃなくていいよ!」


明「本当に?そういってもらえるとこっちも話しやすくて嬉しい!」


第1印象はかなり好印象だった。

そして、俺のコミュニティー能力の高さも自分自身でほめていた。


ここまででお分かりの通り、俺は本当によく自分の事を語る。そしてお喋り好きだ。

よく周りからも、うるさい。ちょっとお口チャックしようか。などと言われる。

だがあまり自分にはその自覚がない。

なかなかめんどくさいやつなのだ。


それから1週間後。

俺は明とこの日までずっと連絡を取りあっていた。

そしてこの日思いもよらない展開が俺を待っていた。


明「学校お疲れ様!今日はどうだった?」


俺「いつも通り!だるくて早く帰りたかったw」


明「そっかw

ねえ、いきなりだけど優希って彼女いるの?」


俺「いないけど、なんで?」


明「優希とこうやって話してて凄く優しくて、私も優希みたいな彼氏いたらなって思ってさ。」


俺「俺も明みたいな彼女がいたら幸せだろうなって思う。」


何をいってるんだ俺は。

会ったこともない、まだ1週間しか話したこともない、でも高校1年の俺にはそんな事考える余裕などなかった。


明「本当?」


俺「うん。明の彼氏になりたいって本当に思うよ。」


明「じゃあ...付き合おう?だめかな?」


俺「いいよ。」


明「ありがとう。なんか照れるねw」


この会話をきいて大半の女性は、

「軽すぎ。」「ありえない。」

などと言うこと間違いなしだろう。

普通の恋愛小説でも付き合うまでの流れは凄く大事にする。

両思いの2人が気持ちを言いそうになるも、照れ隠しで冷たくしてしまう。

確かに俺はそういうのにドキドキする気持ちもわからなくもない。

ただ、1番大事なのはそこじゃなく付き合い出した後だと俺は思っている。

始まりよりも中身を大切にしたいのだ。。。


俺「今日の付き合いはじめた記念日ちゃんと覚えとこう!俺そういうの大事にするタイプだから!」


明「わかった!6月11日だね!

ちゃんと毎月11日にお祝いしようね!!」


俺「うん!

じゃあ、これからよろしくな?」


明「よろしくお願いします!」


6月11日...。


それはこれから起こる2人の物語においてかけがえのない1日となった。



それからというもの俺と明は...

その前にいい忘れていたが明は埼玉の人だ。

たぶんこれはもう少し早くいうべき情報だっただろう。


話を戻そう。

それからというもの俺と明は電話などもしたりして、ラブラブな恋愛を続けましたとさ。


おしまい。


とはいく筈もなかった。


付き合い初めて1週間後大喧嘩をした。

「いやはやすぎるだろw」

その通りだ。

そしてなんと別れ話にもなった。

喧嘩の原因は覚えてないが、きっと小さな事だろう。いや、絶対にそうだ。


明「もう私達だめだね。

ごめんね。こんなどうしようもない女で。」


俺「そんなことない。

俺にとっては大事な彼女だよ。」


明「優しいね優希は。

私には勿体ないよ。」


俺「俺の方こそ。」


普通こういう話はもう少し月日が経ってからするものだろう。

そしていきなりだが俺はどう考えても恋愛小説の主人公に向いてない。

素直じゃない訳でもなく、俺様でもなく、優しい王子様でもない。

俺にドキドキしたり、共感できる人は相当少数派だろう。

いたとしてその人は変わり者だ。


1つだけ言っておきたいことがある。

さっきから俺は本当に自分の話ばっかしているが仕方ない。それが俺なのだ。

自分自身を偽り綺麗事を並べるような話しはしたくない。

本当にあったことを包み隠さず話していく事が俺らしさだと思うから。


馬鹿ですみませんお許しください...。


話を戻そう。

だが、俺は喧嘩をして別れようなんていう気はさらさらなく弱気になっている明を電話で2時間ほど説得した。

そしてやっと明は気持ちを整理し、落ち着いて話をしてくれた。


明「ごめんね。

こんな私でも一緒にいてくれる?」


俺「うん。ずっと一緒にいるよ。」


そして喧嘩は終わりを告げた。


それからはずっと幸せな時が過ぎていきました。

となればいいのだが、俺達の恋愛にそんな時間はほとんどなかった。


付き合いだして1ヵ月半後。

普通のカップルだと、

「好きすぎてやばい...!」「◯◯君しかみれない。」

などと戯れ言...失礼。

幸せな会話を楽しんでいる時期だ。

俺達もそういう話はしてはいるが、ここで明が爆弾発言をしてきた。


明「私ね今はもうすきじゃないんだけど、優希と付き合いだしてすぐの時ずっと好きだった人がいたの。」


俺「まじか。

まあ今好きじゃないなら大丈夫だよ!」


何が大丈夫なのかはわからなかったが、これ以上聞くのも嫌だったので無理矢理話を終わらそうとした。


明「聞いて!その人は幼馴染みで昔から私の片想いだったの。好きだけどあっちは振り向いてくれなくて他の誰と付き合ってもその人のこと忘れられなかった。

でもね、優希と付き合ってその人のこと徐々に忘れられるようになったの。」


文字にしてかくと早口で荒々しくいってるように思うだろうが、実際の電話では聞き取り安い早さで落ち着いて話していた。

明は話していると凄く落ち着く魔法のような声をしていると俺は感じていた。


俺「分かったよ。

正直にいってくれてありがとう。

本当は少しだけ不安になったけど、明がそうやって真剣に本当の事話してくれた事がおれは嬉しい。」


明「ごめんね、ありがとう...。」


明はそういいながら泣いていた。

別に泣かなくてもいいのに...。

まだ付き合って日は浅く、直接会ったこともないがなぜか俺は明が本当に優しくていい子だと言える自信があった。



そして、この日の会話の最後、今年の夏休み俺から埼玉に会いに行くと約束して電話を切った...。
























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