最期の街
森田ムラサメ
序章 始まり
The beginning 1
今の日本で最も報道されている事件はなんだろうか。
恐らく誰に聞いても同じ答えが返ってくるだろう。
「ゾンビ」それは映画やマンガなど創作作品の中に存在する架空の物、だった。
というのも、とある大国が感染源となる細菌を作り上げたからだった。当初それはどの国でも報道されなかった。恐らく自国民さえ知らなかっただろう。しかし、それが明るみに出るのに時間はかからなかった。
いつも通り俺が自宅を警備していると何気なく見ていたテレビに速報が流れた。それはヨーロッパ諸国に突如として軍事侵攻が発生したのだ。
当然このようなことがあれば外交面において何かしらの怨恨がある国が疑われる。それは素人の俺でもわかる国だ。かつての超大国、現在でもその力は残っているが全盛期ほどの緊張感もなく誰もこんな形で再び目を覚ますなど思ってもみなかっただろう。
だが素人でもわかるのはここまでだ。理由が分からないし、そもそもなぜ地上侵攻なのだろうか。核も保有していたはずだ。そんな国が効率の悪い方法をとるとは思えないし威力も桁違い。意味不明だ。
見ていた昼のワイドショーも潰れて臨時ニュースに切り替わったので俺は録画していた今期のアニメを一気見することにした。
アニメを見ている間は無だ。これから何が始まろうとこの国は平和だし巻き込まれることなどありえないという考えがきっと俺を安心させているのだろう。
◇
「面白くないにも程があるだろ」
約30分の間アニメを見ていて出てきた言葉がそれだった。いつもなら3話までは見るところ、しかしこれは酷い。早速、ネットで評価を見ようとPCを起動する。
いつも贔屓にしているまとめサイトを閲覧すると同意見が多い。
「時間の無駄だ」
なんてことを引きこもってる奴が言っていいのか分からないがとにかく時間の無駄だった。
だが、新しい発見もある。ネットニュースがさっきの軍事侵攻を報じている中、疑われる連邦が正式なコメントを出した。
「我が国は一切関与していない。ありもしないことを各国に報じ、我が国への制裁や武力侵攻の言い訳にする汚いやり方だ」
これは核戦争か何かの始まりに直面しているのだろうか。
そんなことはどうでも良い。今の俺にはカップ麺を作るお湯を沸かすことの方が極めて重要だ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます