この世界の神になる物語

りっくん

第1話

 最近良く夢を見る。それは、俺、神前頼飛しんぜん らいとがまだ幼い頃、じいちゃんが話してくれたずっと昔の物語だ。

 どんな物語だったかというと、

 昔、神が一つの世界をつくり、その世界で神はそれぞれに個性を持った3種族を作り、平和に暮らしていた。だが、それから何百年と時間が流れ、神の寿命が尽きようとしていた。その事を知った作られた3種族は、神の新たな後継者となる為に争いを始めてしまった。

 それに見兼ねた神は、力尽きる寸前に3種族をそれぞれ別々に分かれるように3つの世界を再び作り、神は死んだ。

 というような物語で、良く聞いていたから覚えている。そして、最後に絶対じぃちゃんはこう言って締めくくった。

「お前は神の生まれ変わりだ。近いうちにまた世界は一つに戻る日がくるだろう。その時が来た時は、お前が必ずその世界の神になれよ。良いな」

 そして、にぃっと笑っていた。

 そのじいちゃんはもう死んで居ないが、ふとした事で思い出すほどおじいちゃんっ子っだったりする。

 そんな事を思い出していると、突然バタンッ!!と自部屋のドアが開き怒鳴り声を上げて母、神前美彩しんぜん みどりが入ってきた。

「あんた!いつまで寝てんのっ!咲は先に言ってるわよ!早く学校行きなさい!」

「うぅーん。はいはい」

 と言って部屋から出ていった。

 そう。朝8:30…遅刻だ。家から近くの進学校に通っていて、今年で3年生だ。まだ6月なのに、皆は受験勉強で忙しそうにしている訳だが、俺はどこの大学へ行くのか決めていない。成績は自分で言うのもなんだが、1流の名門大学も行こうと思えば少し勉強したら行けるレベルで、頭は良い方だ。だから、毎日頑張って学校へ行かなくても良いかなぁと思っていたりする。そんな俺とは違って、妹の神前咲しんぜんさきは2つ下の

高校一年生で同じ学校なのだが、真面目で、部活も陸上部と、学校生活を

楽しんでいるようだ。

 というか俺は、朝が苦手なだけだ。

 だいたい朝から学校へ、よしっ!張り切って勉強頑張ろう!!なんて言って行く人なんか凄く少ないだろうと思う。

「はぁ。行くか」

 それでも仕方なしに、起きやがり、制服に着替えて玄関を開けた。

「行ってきまーす」

 奥から急ぎなさい!と声が聞こえた。

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