第2話☆席替え!イチカと仲良しになる☆
二年生になってすぐの時期に席替えがあった。
女担任の与田が「好きに席を決めていい」と無責任なルールを宣言した。慣れてからなら友達と近くの席になれて楽しいだろうけど、新しいクラスになって早々だ。仲が良かった子がいなかったわたしはまわりをキョロキョロ探す余裕もないほど焦った。
わたしは初めの席に座ったままだった。『友達いないの? 』なんてからかわれたら、「移動すんのめんどくさいから(笑)」なんて言おうと心の準備までしていた。
「隣座って、い?」
ちょっと甘えたような口調で声をかけられた。それがイチカだった。
「あ、うん!いいよー!」
自分から声をかけるのが苦手なわたしは心底ほっとしたというか、正直うれしかった。
それからイチカとはすぐに仲良くなった。お互いアニメが好きという共通点があり、アニメキャラの筆箱や下敷きで盛り上がっていた。お絵かき交換ノートなんてのもしていて、アニメのキャラを褒めたり、互いの絵を褒めたりしていた。
イチカは可愛い系のキャラが好きで、わたしは少し影があったり性格の悪いキャラが好きだった。好きなアニメもかぶることは少なかったが、わたしはイチカにすすめられて見るアニメを増やしたこともあった。話を合わせるためでもあった。いや、例の甘え声の「おすすめー」で、合わさせられたと言えるかもしれない。それでも嫌な感じはなかった。
イチカとちょっとギスギスしだしたのは席替えから三週間くらいの頃だった。
「ネムってハゲが好きなのー?笑」
「ハゲじゃないしモヒカンだから!」
イチカはわたしの好きなキャラを馬鹿にしだしたのだ。本気で怒るまではいかないけど、ちょっと微妙な空気になるくらいには声を荒げてしまった。
イチカは「ごめんーって」とその時は謝るのだが、毎日同じようなことを繰り返した。
わたしは、本当に大事に思っているキャラを教えたことを後悔した。くだらないと思われるかもしれないが、本当に好きなキャラを馬鹿にされるのはかなり辛い。というかムカつく。わたしの性格なのかもしれないが、キャラに限らず、自分の気に入ってるものを悪く言われると、本当に嫌で嫌でたまらなかった。
それに、イチカのアニメに対する考えにもイラついていた。イチカはどうも『可愛いキャラが好きな自分が可愛い』と思っているのではないか、という疑いもわいていた。「そんなことない」と言われれば、こちらの考えに証拠など準備できないし、もしそうだとしても別に悪いことをしてるわけではない。しかし、だからこそ、このモヤモヤはわたしのなかで日々イライラへと変わっていた。
わたしの好きなアニメをくだらない自己アピールに利用するのは許せなかった。
ともあれこんなふうにイチカとは仲良く過ごした。
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