第34話 This Feeling この想い 加筆修正有2020.09

34.



== 渡邉凛太郎 + 聖 + 見知らぬ男 ==


 南からのメールを読んで、俺はクラクラしてめまいを

おこしそうだった。何というメール! Oh My God!!


 しかし・・南はどうしてその女性が聖だと分かったのだろう

そんな疑問が瞬時に浮かんだものの、知らせてきた内容の衝撃度が

半端なくて、とにかくそういうことは後だな、と思いつつ・・

どういうことなんだ、といろいろとパニクル凛太郎だった。



 毎日顔を合わせている聖と、南から知らされた聖の行動

が一致しなぁ~い。俺は半信半疑で「今日は残業で遅く

なりそうだ、帰りは深夜になるかもしれない」と聖に連

絡を入れた。


 そしてその足で会社最寄り駅で19時前から聖が来るか

どうか、張り込んだのだった。


 こんなに心が痛んだことがあっただろうか。聖の浮気

を知った時以来だ。しかし、あの時の比ではないほど鼓

動はドキドキ、ドクドク、バクバク・・どれも当て嵌ま

る俺の鼓動は鳴り続けていた。来ないだろ、まさか。


 聖、来ないよなこんな所へ。来るな、来ないでくれ。

胸の鼓動を聞きながら、俺は願っていた。果たして・・

目の前に綺麗に化粧をし、着飾った聖が現れた。すると

南から聞いてたとおり、ひとりの男が聖の所へやってきて

ふたりは腕を組み、夜の街の中へと連れ立って行った。

そして、ふたりは繁華街に建っているホテルの入り口へ

と向かった。



 「聖!何してるんだ!」


 「ン?」聖が気だるげに声のする方、つまり俺を視界に入

れた。その時確かに、「チッ!」と聖が舌打ちしたのが判

った。目の前で夫に名を呼ばれて舌打ちする輩は、聖の

姿形をしていたけれど、聖ではない見知らぬ女だった。


 聖は俺を一瞥したがすぐに前を向き、連れの男と尚も

そのままホテルに入ろうとした。俺はたまらなくなって

聖の側まで駆け寄り、「聖、帰るんだ」と腕をとり、連

れて帰ろうとした。


 連れの男が言った。「アンタ誰よ?」







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