第12話 This Feeling この想い

12.


== 渡邉凛太郎 + 倉本武 ==




 一体あれから何年経ってると思ってるンだ。

 9年だよ、9年。

 お前が聖を捨てて9年。


 どの口がよくもまぁ恥ずかし気もなく、忘れたことはな

いだとか会いたいだとか、言えたもんだ。しかし妻はそ

んなくだらない奴とヤッてやがります(し)た。お前はい

つから誰が考えても遊びだと判るようなことも判断出来ない

そんな脳みそ空っぽ頭になってしまったんだ。倉本の誘

惑から逃れられなかった妻。


 夫である自分はストッパーにはならなかったのだ。こ

んな不甲斐ない夫はもういらんだろう・・なぁ?聖。か

なりダメージを喰らってしまったみたいだ。聖は、こん

な俺に見られたらアウトな危険なメールを削除もせず未

だ残している。こんな駄目駄目な抜けてるところのある

妻のことが好きだった。いや、過去形ではないな。許せな

い気持ちはあるが、実は今も好きだ。


 何喰わぬ顔をして俺に尽くしながら、一方でこんなコ

トを平気でやっていただなんて!


 俺は相手の男も妻のことも徹底的に懲らしめてやろうと

決心した。


 可愛さ余って憎さ百倍っていう言葉、知ってるだろ?

聖。


 俺は興信所に頼んで倉本武の勤めている会社と実家

そして両親や他の家族のことなどを調べてもらった。


 準備万端整えた上で、倉本に連絡を入れた。


「もしもし、、、。」


「こちら渡邉凛太郎と言います。」


「・・と言いますと?」


「旧性、松本聖の夫だよ。どうして電話してるか判るだ

ろう?」


「えーと、ど・のょぅな?」



「すっとぼけんのもいい加減にしろよ。聖を去年抱いた

だろ。証拠は上がってるんだ、言い逃れはできないからな

覚悟しろよ!プロに頼んでお前の会社も自宅も実家も住

所・連絡先いろいろと調べは済んでるんだ。その上での

話だということを、よく覚えておけ!」






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