This Feeling この想い

設樂理沙 

第1話 This Feeling この想い加筆修正有2020.09

1.


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渡邉凛太郎    34才 ---同僚:南千鶴   35才

(松本 聖)     31才 ---元彼: 倉本武   31才

   浩美     5才 南基子     8才

   祐太     2才  まりな(真理奈) --何者?



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 俺の独り暮らしの父親のことを何くれとなく気にかけて

くれ、子育ても家事もほぼ完璧にこなし居心地の良い家

庭を俺や子供達に与えてくれて、未だに俺に対する気配

りも忘れず尽くしてくれているそんな良妻賢母を絵に描

いたような妻聖が、元彼とヤッてやがった。大学を卒

業し地元で就職すると、話し合いすることも無くさっさ

と聖のことを捨てていったような、そんなヤツと。



・・


 聖の元彼、倉本武と聖は大学2年から卒業するまで3年

間付き合っていた。卒業すると倉本は地元に帰り就職し

てしまった。倉本が付いて来いと言ってくれたなら一緒

に倉本の地元で就職しても良かったのに、倉本は聖に何

も言わぬまま地元に帰ってしまった。それでも恋しく想う

聖はせっせと倉本にメールを送ったけれど、2度3度返事が

来たきりプツっと返事も途絶えてしまった。


 メールの返事さえくれない相手に電話する勇気もなく

聖は倉本を忘れるよう努力した。そんな時、聖が新入社

員として入社した部署内で、3ヶ月に亘り教育係りとし

て熱心に指導してくれたのがやさしい先輩・渡邉凛太郎

だった。


 もちろん、仕事上のことに限るが彼が積極的にいろいろ

と相談に乗ってくれ、聖はとても精神的に助けられたのだ

った。


 4月には2回、5月には1回、倉本からメールの返信があ

った。だが6月に入ると、とうとう一度も返事は返って

こなかった。


 

 凛太郎の教育係りの期間も終盤に差し掛かった頃、寂

しがり屋な聖は倉本との関係が完全なる終わりを迎えた

ことを認識すると、まだ自覚も無いままにRealに今一番

身近にいてやさしい凛太郎をいつしか精神的に頼るよう

になっていった。


 聖は入社後の新入社員歓迎会の皆のいる場で、大学生の

時から付き合っている男子(恋人)がいると公言していた。


 その為、独身男性社員達の前から必然的に恋人募集中

の看板を降ろすことになっていた。そんなことにも気が

まわらず自分以外の新入社員の男性社員と女性社員達が、

よく混合で連れもってアフターファイブに繰り出し、チ

ラホラカップルも出来たとか聞くようになると、更に聖

は落ち込んでいった。


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