第十五話 勇者たちの実力
俺は目の前の熟れた果実に焦点を合わせて鑑定した。
□名前:ソフィ=ブラガ
□種別:人間
□年齢:18歳
□職業:大司教(統一教)
□レベル:50
□HP:1180/1180
□MP:2550/2550
□筋力:205
□敏捷:310
□魔法:聖魔法(大)
□スキル:太陽神の加護(中)、薬草学中級(4/10)、範囲自動回復(小)、鑑定(2)、聖属性(大)、闇耐性(大)、年齢詐称(大)、肩凝りの呪い(小)
信じられん。レベル50だと……。英雄レベルじゃないか。しかも、MPが異世界チートな俺とほぼ同じだ。レベル差はあるとはいえこれは尋常じゃない。うちのエルフのルシアでさえMPがまだ310だというのに。
しかもシスターじゃなくて大司教様だったのか。ただ統一教ってネーミングになにか怪しげな雰囲気を感じるな。それと……。年齢詐称のレベルが高すぎだろ! 見た目は凄く若いんだけどな。実年齢はいくつなのだろうか。怖くて聞けない。
そして範囲自動回復のスキル持ちだった。ああ、なるほど。
「見ているだけで癒されるのは本当だったのか」
やはり双丘をガン見するのは健康に良いことなのだ。うむ、全身が癒されていく。
「見なくても回復されます!」
ソフィは胸を両手で覆い隠し、潤んだ瞳で俺を睨みつける。全然隠せてないけどね。むしろ圧迫されてすごいことになっている。
そうそう、呪いはいわずもがなだ。やっぱり大きいと大変なんですね。お揉みした方がいいのかもしれない。俺は手をワキワキとさせる。
「ひぃっ!?」
「お前は変態か!?」
ソフィーを庇うように俺の前にたったのは赤髪の女。殺意の籠った目で睨みつけてくるこの女の名前はなんていったけか。えーと……。
「ああ、そうだ。リーナか」
「アンジェリーナよ!!」
あれ、そうだっけか?
□名前:アンジェリーナ=ハインツ
□種別:人間
□年齢:19歳
□職業:魔道王
□レベル:54
□HP:1105/1105
□MP:3830/3830
□筋力:166
□敏捷:442
□魔法:全属性魔法
□スキル:魔法神の加護(中)、杖術上級(8/20)、MP自動回復(中)、魔法同時発動(中)、全魔法属性(中)、魔法耐性(中)、肩凝り知らず
「まじかよ。なんだよそのMPは……」
さらに上がいたよ。俺より遥かにMPが高かった。しかもよく見るとソフィもこいつも後衛なのにHPが高いな。うちの筋肉馬鹿を超えているぞ。
「あら、あなた鑑定が使えるのね」
「まあな」
「私達の強さにびびっちゃったかしら。今更へこへこしても遅いんだからね」
「うるさい貧乳が」
「なっ!?」
顔まで真っ赤に染めるアンジェリーナ。ん? ハインツ? 赤?
「ケチャップかよ」
「ぶーっ!?」
「ちょ、ユーキっち、汚い!?」
あ、隣で勇者が吹いた。さてはあいつ同じ事を考えたことがあるな。勇者の噴き出した唾を猫耳少女が一瞬で回避する。
そして、いつのまに俺の前にいた。まさかこいつも……。恐る恐る幼女を鑑定する。
□名前:ララ=ガータ
□種別:獣人(猫)
□年齢:38歳
□職業:拳闘鬼
□レベル:51
□HP:4360/4360
□MP:166/166
□筋力:1860
□敏捷:778
□魔法:なし
□スキル:拳闘神の加護(中)、格闘術上級(10/20)、投擲術中級(10/10)、暗器術中級(8/10)、毒精製(中)、隠れ身(中)、鑑定(2)、物理耐性(中)、魔法耐性(小)、危険察知(中)、罠開錠(中)、幼女化の呪い
「幼女じゃなかったのかよ!?」
まず驚いたのはそこだった。熟女でしたよ。まさかの最年長。いや、ソフィーが年齢不詳だからなんともいえないか。そして、いつの間にか筋力が鑑定できるようになっていました。なんてご都合主義なんでしょう。ちなみに俺の今の筋力は1100だ。素早さは400。完全に負けていた。
しかもなんだよこの保有スキル。物騒過ぎだろ。
「みぃ~たぁ~なぁ~」
ガキンガキンと拳を打ち合わせて嗤う猫耳幼女もとい熟女。ちょっと! キラリと光る牙が口から出てますよ!
「見てません見てません。俺は何も見てません!」
偽幼女のあまりの迫力に俺は勇者を前に押し出す。
「ちょ!? カイト、僕を壁にしないでよ! ララも! 拳から火花を散らすの止めて!」
しかしやばいな。全員が英雄レベルだった。おそらく装備品もかなりの代物でステータスをさらに底上げしていることだろう。タイマンなら負ける気はしないが、三人で束になられたら勝てる気がしない。
そして、最後に勇者を鑑定してみました。正直したくなかった。でも、しないと駄目だよね。
□名前:ユーキ=タクマ
□種別:人間
□年齢:17歳
□職業:
□HP:10490/10490
□MP:2150/2150
□筋力:1103
□敏捷:494
□魔法:勇者魔法
□スキル:異世界言語、???、剣術上級(4/20)、体術上級(6/20)、聖属性(大)、闇耐性(大)、???、隠蔽(4)、鑑定(3)、聖剣の使い手、???、不屈の闘志、MP自動回復(中)、HP自動回復(中)、???、???
全てのパラメータが俺とほぼ同レベルでした。さすが異世界人といえばいいのか。これで確実だな。勇者パーティを敵に回したら今の俺は完全に屠られる。そう考えると、さすがに背筋に冷たいものが走った。
しかもスキルで一部鑑定できないところがあった。もしかしたら勇者の隠蔽のレベルがある程度高いからなのかもしれない。勇者の隣は《異世界人》もしくは《高校生》ってところかな。スキルはこれだとちょっとよくわからないな。
「ねえ、カイト?」
「ん?」
ユーキが俺の耳に顔を近づけてきた。
「僕のステータスって全て見れたの?」
ぼそぼとと耳打ちしてきた。
「いや、俺の鑑定のレベルじゃ一部しか見れなかったぞ」
「そうなんだ」
俺の返事を聞いたユーキはどこか安心した顔を浮かべていた。なんだよ恥ずかしいスキルでも持っているのか。あ、もしかして《ハーレム属性》か。若い美少女たち…見た目だけかもしれないが…に囲まれやがって! 羨ましいな、畜生。
あれ? 待てよ――。
「なあ、ユーキ?」
「なんだい?」
「お前らって一度魔王に負けたんだよな?」
「えっ――。ああ、うん。そうだね……」
ユーキは俯くと悔しそうに拳を握り締めた。マジかよ。この面子で負けたのか。おいおいおい、魔王ってどんだけ強いんだよ。
ため息をついて俺は天を見上げる。鬱蒼とした木々の枝葉が視界を遮っていた……。いやいや、ここは澄みわたった空を見上げるシーンだろ! 台無しじゃないか。
はぁだめだ……。なんか魂を取り戻せる自信がなくなってきた。どうしよう。
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