赤ちゃんを寝かしつけながら

昼間、赤ちゃんを抱いていたら、その子が私の顔や髪を触りながら安心したように眠った。

最初家族が増えたと聞いた時「ああそうなんだ」と驚きもせず、自然と受け入れていた自分の視野が広いのかぽやっとしているだけなのか疑問な観点にずっこけることもある。


しかしその子に、「あんたのお母さん好きやでー、大きくなったらどっかやかや行こうねー」と話しかけていたら、顔に手をやりながら安心して眠りについてくれたのに、何かの安らぎを得て。


昼間はもっぱら執筆活動。しかい合間に人間活動。掃除してみたり、洗濯物取りいれて布団干してお日様の匂い嗅いだり。

近所のコーギーちゃんのおじさんが、見ていたら手を挙げて挨拶してくれた。

それから顔を合わす度、挨拶するようになった。


神社の神主さんのとこのトイプーのげんちゃんが、犬を待ちわびている。奥さんも待っている。

「今日はいないの?」と聞かれ、「今日はうるさくするから休み」と答えて、おばあちゃんに怒られるからと、道聞くついでに有名パン屋さんで買った菓子パンをあげた。


最近はもっぱら一人でイヤフォン片手にそこら辺に出没する。


これを書いている間も、外の人が「もう寝なさーい」と声掛けしてくれる。

ありがたやー。ありがたや。

病身にはそれが一番いい。


昼に珍しくむっつり型の叔父も来てくれることになり、先に席を立って二階にいたが、お茶が切れたので汲みに行き、ガラス戸をぱたんぱたんしていたら、いとこが笑ってくれた。

そうそう女の子って優しいから、どこで好感得るかわからないのだ。


私はこれからも負け郎でいよう、と思い直し、勝つことの年増の女がそれをやるとどんなに醜く映るかなど考え、若干嫌になり、すぐ止めといた。

負け人生いいじゃない。相田みつをも言うてました。人間負けてくれる人がいるから、勝てるんだなぁと。


私は世の中の辛酸舐めきって、もはや勝つのなんて、粋がるのなんてお茶の子さいさい、という気がして、そういうのは大事じゃねえよ、と思う。

負け郎なりに、やり方はあるのだ。


金貯めよう。そしていとこと赤ちゃんを甘やかすのだ。本格的に自分に投資するのを止めよう。目先より新しい未来に目を向けようと思った。

これから人生、長いんだし。


そんな中で、新しい人生と若いお母さんは大切だ。そう思う。


とにもかくにも、若い世代に後は任せた。

私はサポーターに回るよ。じゃ。と敬礼して、舞台袖に引っ込む。


彼女らの幸せを、ただただ願う。

父の会社も、上手くいけばいいと思う。

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