マルチエンディング

禁断の書物


 ――カードを選んで下さい。


 XV 悪魔 悪魔の左右に男女がつながれる。




 夕闇の立ち込めた部屋の窓際で、黒い衣裳ワンピースの妹はこちらをみながら佇んでいた。

 外は昏い海のようだ。

 秋にもかかわらず、むき出した肩と腕が、ほの白く浮かぶ。

 胸もと百科事典ほどもある、鍵付きの本が抱えられていた。

 その表紙は漆黒で、銀の蜘蛛の巣が彫り込まれ、中央には黄金の蜘蛛が脚を広げている。

 鍵は硝子、蜘蛛の背にある、陰裂のようなルビーの眼が、その穴になっていた。



「大好きなお姉ちゃん。

 私はお姉ちゃんが好き。


 男にも女にもとられたくない。

 ずっと私だけのものにしておきたい。


 ずっと二人っきりのとこにいこ。

 ずっとずっと、いっしょにいよ」



 妹はワンピースをたくし上げる。その下腹部は腐膿に侵され、太い網状の血管で覆われ、孕んだように膨れ上がっていた。

 大きく股を広げて横たわる。その真ん中には縦に裂けたまっ赤な眼があった。

 ふくろが破れ、無数の眼球や蝙蝠の羽根のようなものが溢れ出る。


 黒い霧のような触手が這い寄り、こちらの体に絡みついてきた。

 そして、お尻や股、口の中に――。






【BAD END】

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