5月7日 ゴールデンウィークとは

 男は、気がつくと日曜日を迎えていた。

 ・・・正直、何もしていない。何もする気すら起きなかった。


 この連休中に、しようと思っていたことはたくさんあった。

 執筆やら、執筆やら、執筆やら・・・。

 あと、執筆にも手を出したかったのだが、不思議なことに、5月2日から今までの記憶がないのである。

 世の中には、科学では解明できない謎が数多存在しているが、こうしたなんちゃって記憶喪失についても原因究明を急いでもらいたいものである。


 さて、ゴールデンウィークといえば、いつも思い描くのは交通渋滞である。

 ただでさえ、ちょっとした連休であっても渋滞は起こるものである。

 ほんの少しのタイミングの差で、高速道路にさえ乗れないほどの渋滞を目の当たりにすることもある。車の行列が長蛇となり、長いうねりを作りながら延々と連なっているのである。

 これがゴールデンウィークの6連休ともなれば、長蛇に長蛇を重ね、もはや動く見込みすらない。まるで、獲物を丸呑みにした蛇のように、じっくりと中のものの精神を蝕んでいくのである。


 そうなることが予想されたため、男はゴールデンウィークのウィークポイントを避け、ゴールデンウィークの黄金的な要素を4月中に済ませようとした。

 わけのわからないことを言っているようだが、これが男の作戦だった。


 男は潮干狩りに出かけた。

 場所は木更津。金田海岸。

 ここへ行くには、いくつかの難所を抜けなければならない。


 まず一つ目、首都高速道路。

 言わずと知れた、多数合流ポイントによる渋滞である。


 二つ目、魔の巣窟、東京湾アクアライン。

 海の真ん中にそびえる魔城、海ほたるによって作られる渋滞である。

 それだけではない、東京から千葉県へのワームホールとなっているため、多くの旅行者はこの道に吸い寄せられて行く。

 今となっては、海ほたるの有無を抜きにして、言わずと知れた渋滞スポットになっているのである。


 早朝、男は出発した。

 朝早くにもかかわらず、首都高速道路にはおびただしい数の車が往来していた。

 男の心配をよそに、交通は流れている。

 思い過ごしか、と、気を緩めた途端・・・長蛇の列は突如として現れた。

 魔の巣窟たる、アクアラインの合流ポイントである。

 未だアクアラインに乗る以前から長蛇の列は続いていた。

 ただ、魔の巣窟というからには、別の理由があった。

 渋滞による苛立ち。そこからくる先へ行こうとする意識が、人を狂わせる。

 我先にと、渋滞へ割り込む愚者が現れるのである。その列へしめしめと割り込んだ先に待っているもの、それは、割り込まれた後列からのプレッシャーとバッシング、そして、連休による久しぶりの運転によって生じるミスである。

 男の目の前に割り込んだワゴン車が一台、事故によって消えていったのである。


 魔の巣窟、アクアラインの恐ろしさである。


 およそ2時間の死闘を終えて、アクアラインを渡りきり、すぐのところに木更津金田インターチェンジはある。そこから右折して10分のところに、金田海岸はある。

 男は、潮干狩りよりも潮干狩りをしている人たちのかがんだ姿を堪能していた。

 この後にきたる、さらなる恐怖など知る由もない。


 午後3時。潮干狩り客は足早に去り始めていた。

 渋滞を回避するためである。

 男は、うっかり潮干狩りを堪能しすぎていた。


 潮干狩りの海岸を去ること、4時間に渡り、木更津金田インターチェンジにすらたどり着けずにいたのである。

 インターチェンジ付近で起きた事故により、出口に蓋をされ、まるで復路(袋)のネズミである。

 行きは2時間でたどり着いた道のりを、帰りは7時間かけてたどり着くこととなった。


 こういった疲労の蓄積が、連休中の男の記憶を奪っていったのであろう。


 そのため、今日も執筆は捗らなかった。

そして、捻りもなかった。

 捗らなかったものの、ちょっとだけやる気を見せてみたので、気になる方は見つけてみてほしい。

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