10月17日 やる気スイッチが見当たらない

 青我という名前は、「未熟者である」という意味を込めた名前である。

 青は藍より出でて藍より青しという言葉があるように、自分自身は常に青い存在でいたいと思っている。


 青といえば、先日、台所をくまなく掃除していたのだが、年に数回こうやってお掃除スイッチが入って、いたるところを掃除しようとやる気に満ち溢れることがあった。

 シンクから、ガスコンロ、蛇口から排水口、パイプユニッシュまで使ってやった。

 皿などの食器類はもとより、鍋からフライパン、包丁もダイヤモンドシャープナーという便利な刃研ぎでシュインシュイン!


 ピカピカな台所が輝いていた。


 台所には、テーブルがあるのだが、その上にある食器類もお客様用のティーカップも洗ってやろうと思った。

 そのとき、ふと、3月のお彼岸でちょっとだけ使った急須に目がいった。そういえば、コイツもしばらく使ってないな、と、軽い気持ちで蓋を開けた。


 そして、その蓋を開けながら、脳裏をよぎったことがある。

 果たして、この急須は、3月のお彼岸の時に、中身を洗っただろうか――と。


 やる気スイッチの入った満面の笑みを浮かべながら、蓋を開くと……そこには、青カビのキノコが精製されていた。



 執筆はやはり捗らなかった。

 掃除も、捗らなかった。

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