ただひたすらまっすぐに
僕はここにいた。僕の居場所はここにしかなかったから。
そう、あなたのとなり。ここが僕の唯一の居場所。
他はあってもなくても僕にとっては同じことだった。
けれど、あなたはいない、もういない。
ご冥福を祈ります。
簡単に言わないで。僕の居場所はもうないのに。
永遠に続くと思われた時間はあっけなく消え去った。本当に、あっけない。人って何て簡単にいなくなれるものなのだろう。
僕のあなた、もういないあなた。
あなたがいなくなって一つ僕は知ったよ。あなたがいないならいないで、僕は存在出来てしまうのだね。 僕は、あなたのいない世界にいたくはなかったのに、僕は当たり前にここにいる。
なんでだろう。
あなたがいなくなってからの月日の方が僕には充実した時間のように感じられるんだ。
あなたのとなり以外に、僕の居場所はないんだと思ってた。なのに、あなたがいなくなって周りを見てみたら、 僕の居場所はたくさんあったんだ。冷たくて、いないも同じだと思っていた人間たちがとても温かかった。
僕の目が、周りをきちんと見ていなかっただけだったんだね。こんなにも、人は温かい。
そんな当たり前で幸せなことに、僕はあなたがいなくなるまで気付けなかった。
ごめんね、僕の狭隘な視野が、あなたの自由を奪っていやしなかったかい? 僕の偏見が、あなたを縛り付けていなかったかい?
あなたは、僕のせいで外界から切り離されてしまっていたの?
ごめんね。いなくなるまで気付けなかったなんて。
ごめんね。いなくなった後に僕一人で幸せになって。
ただ、ひたすらまっすぐに、僕はあなたと歩めなかった幸せを、幾多の人と歩いている。
ただ、ひたすらまっすぐに。届かないあなたへの思い募らせてる。
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