僕の右手から消えていった

そこにあったはずの温もりが今はない。

確かにあったんだ、この右手に。僕の、この右手の中。奪われてしまった、僕の君。いつもあった僕のための君の温もり。


誰だい? 僕から君を奪っていったのは、僕の右手から君の温もりをさらっていってしまったのは。 それが許される人間はこの世にはいない。そうだろう? だって君は僕だけのものだ。僕をあたためてくれるために君はいるんだ。

そうだとも、この右手に。


すっかり冷えてしまったこの右手。あたためなくちゃ。

君を、探しに行こう。

僕の右手から消えていった僕のための温もり。僕だけのために存在する君の左手。今から迎えに行くよ。 僕から君を奪ったそいつから取り戻すんだ。


僕のための君、今またこの右手に戻っておいで。



--------------------


僕の名はストーカー

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る