太陽は語らない
@sioame0409
朝靄
飲みほした睡眠薬のカラが転がる生活臭漂うへやに一人。
切りすぎてじんじんと痛む左腕を抱えるのは みつき、という19の少女。
時刻は明け方。微かに開いた遮光カーテンから徐々に明るくなっていく外が窺えた。
私は、どうして生きてるんだっけ。
朦朧とした意識の中でそんな思いが巡った。
高校は中退。
もちろん現在は自宅警備員。
社会的復帰ももうあまり望めない。
そんな私も夢を見る。
≪太陽くん≫という男の子が眠るたび夢で私に語りかけてくるのだ。
「生きる希望を捨てないで」「今日は辛かったね」「大丈夫」「僕がいる」
彼の言葉は太陽そのもののように前を向いて素直でまっすぐな言葉だった。
それでいてずっと私を見てるかのように私を理解してくれていた。
私は彼に会うために眠る。
そして目が覚めるたびに彼のいない世界に絶望するのだ。
彼に会いたくて今日は薬をたくさん飲んだ。
なのにまだ眠れないでいる。
彼に会いたい また 会いたい
醒めない夢のなかに行きたい。
そう願っているうちに私の意識は自然と闇へフェードアウトしていった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます