山中湖畔で会いましょう

第０話 はじまり

　瓊瓊杵尊（ニニギノミコト）────

『日本書紀』によれば、サクヤヒメに一目惚れし求婚する。

　すると木花咲耶姫（コノハナサクヤヒメ）の父は同時に姉の磐長姫（イワナガヒメ）も差し出した。

　しかし、イワナガヒメが醜かったので彼女を送り返し、美人の妹とのみ結婚。

　当然、イワナガヒメはそれを恨んだ。

「わたしをお召しになれば子供は岩のように長生きしたでしょうに。妹だけをお選びしたからには生まれる子供は木の花のようにはかなく散ってしまうでしょう」と呪いをかける。

　かくして夫婦の契を結んだニニギノミコトとサクヤヒメ。

　そして、サクヤヒメは一夜の契のみで妊娠する。

　疑い深いニニギは喜ぶどころか自分の子供かどうか疑い、産屋に火を放つ。

「天つ神の子であるなら生まれるはず」

　もちろんニニギの子供であるので無事生まれ、それを証明した───。