神様聞こえていますか?

祭 仁

第1話『神様、彼女は『不幸』』

 神無マリアは、この聖命高校では有名人である────マリアという名前からも分かるように彼女はハーフだ。母方でロシア系の白人種なので整った顔に金髪美少女。おまけに勉学の方は校内でもトップクラス、定期テストの順位表が張り出されると彼女は当たり前のように先頭にいる。僕はといえば、張り出しにも乗らないほどの落ちこぼれだ。まあ、彼女と比べること自体が間違っている。容姿端麗、才色兼備とは彼女の事を言うのだろう。と言うよりかは、彼女の為にある言葉にも思える。いわゆる何でもできる天才というヤツだ。そう、彼女は何でもこなす完璧だ、ある一つを除いて・・・・・・彼女には、もはや冗談ではないか。と言っていいほど、大きなものから小さいものまで「不幸」が起こり重なる。例えば、今日は車に引かれそうになったノラの子猫を間一髪で救った。彼女はその時までは、擦り傷だったのだが助けた猫に腕の動脈噛まれ大量出血し、危うく死にかけた。

 しかし、彼女は噛まれた不幸よりも、猫が無事なことを喜んだ。その笑顔に1点の曇もない。彼女は、いつも笑顔だ。

そう。彼女は、神様に忠誠を誓う聖母の名前にも関わらず、神様がいなかったからか、見放されたのか。

────神無マリアは、神に愛されていない。

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