第2話 趣味と夢

 今日、僕は高校を卒業した。

 地元の公務員試験に見事合格し、笑顔で卒業式を迎えることができた。


 式が終わり、僕はお気に入りの場所にやってきた。

 僕が座ったのは大きな樹の根元。

「お疲れさん」

 上から聞こえた声に驚き上を向くと、そこにいたのは僕の友人勇誠ゆうせい

「……ねぇ、勇誠は教師になるんだよね?」

 勇誠は人に教えるのがうまい。彼は、"俺の将来の夢は教師だ"と胸を張って言えるような人間だ。

「……ん?あぁ、そうだな。そのための進学だ」

 そして、僕はそれができない人間だった。

「お前はやっぱ、写真は趣味でとどめとくのか?」

 それは、対照的な二人。

「……うん」

 それでも、仲が良かったんだ。

「あ、ちゃんと連絡しろよ?」

 勇誠は面倒見がいい。僕はもう、勇誠の"大事な友達リスト"に入っているらしい。

「お前は人一倍心配だからな」

 勇誠は誰よりも他人ひとを愛せる心優しい男だ。

「……わかった。定期的に連絡するよ」

 僕の返事に満足がいったのだろう。勇誠は嬉しそうに「あぁ、約束だ」と笑った。

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