最期の告白を
ファウスト
プロローグ
「はいじゃあ、出席番号一番から軽い自己紹介をお願いします。ではまず一番の秋庭君から」
中年の、いかにも「私!教師なんです!」と言わんばかりの風貌をした担任教師【佐々木 和彦】先生の声が教室に響く。
まだ高校1年生になったばかりで緊張しているのか、はたまた早く帰りたいと思っているのかは分からないが、いやこの中の大半は早く帰りたいと思っているだろう。もちろんこの大半には俺のことも含まれているが。
俺は重い腰を上げ、席を立つ。
「えっと、一番の秋庭翔太です。趣味は読書、本好きの方はぜひお話しましょう。将来は司書になりたいと思ってます。1年間よろしくお願いします。」
と、ありきたりな自己紹介を終え、席に着く。
そして、先生に見えないように机の下で本を読む。
今読んでいるのは最上奈々先生の「青い鳥の巣」だ。この本は鳥の一生を人間に例えて描かれたもので、今一番人気の本らしい。
らしいと言うのは俺はそんなに人気とか、評価の高さでは決めていない。これだと自分が納得したものをいつも買っている。それが今回はこの本だった。ということに過ぎない。
そして、10数ページ読んだところで担任教師から号令の合図が聞こえる。
俺は本をカバンの中に入れて立ち上がる。それに続いて礼。今日はこれで解散となった。
(さて、今日はこのあたりにある本屋を巡ってみるか)
思い立ったが吉日、思い立ったことは即行動が座右の銘である俺はカバンから携帯とイヤホンを取り出して耳に装着し、学校を出た。
外はジメッとした空気に覆われ、あまり俺の本屋巡りを後押ししてはくれなかった。
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