朝起きたら左腕が無くなっていたけど探偵として生きていこうと思う。
小見川 悠
目が覚めたら10年後にいました
第1話 起床
アァ、眠い。
最近仕事が多すぎて徹夜続きだったからな。
そしてその後に飲み会に行ったのが応えた。もう立てない。
時計を見ると午前1時。もう、なんだ。早く寝よう。
俺は仕事の疲れからか、布団に入るとすぐに意識を落とし、深い眠りについた……
はずだったんだ。なんだよこれ。
目が覚めて気づく最初の違和感。
なぁにこれ?無いよ?どこにも。
正確には左腕がない、なにが起きた。
おまけとばかりにカレンダーにも違和感がある。
『2026年7月4日』
はっはっはっはっはぁ。……マジかよ。
おかしいよね、本当おかしいよね!?
なんで目が覚めたら左腕無くして10年タイムスリップしてんのさ!?
……とりあえず顔を洗おう。
悪い夢なら覚まそう。いや、覚めてくれ。
俺は立ち上がり部屋の扉を開け洗面所へ向かう。腕が無いせいなのかバランスが取りづらい。
途中、床がギシギシと音を立てていたが、俺の記憶ではこんなに音は大きくなかった。それも夢だけど思いたいが……
洗面所につく。
鏡面に映る顔を見ると明らかに老けている。顎に無精髭を生やしシワの数も目立つぐらいに増えている。本当に10年分。
桶に水を入れ、その中の水を思いっきり顔にかける。ない腕まで使って。
夢なら覚めろ、と言わんばかりに。
結果?あぁ言うまでもなく③だったさ。『現実は非情である』ってね。
◇
「どうやら本当に夢じゃないらしい」
本当は分かっていたはずだけど。
改めて口に出すとやっぱり現実味がない。
やっぱり夢だろこれなんて言いたいけど、残念ながらそれは否定されてしまった。
さて、ここで考えなければならない問題は2つ。
人間関係と仕事のことだ。
俺のことだ、10年経っても今と同じ奴らとつるんでいるのだろう。
大学からの腐れ縁の伊藤。それに同僚の桜井。
仕事の問題は桜井に連絡すれば分かるし、伊藤に連絡を取れば俺が今どんな状況かもだいたいわかりそうだ。
俺はズボンのポケットに入っていたスマホを取り出す。機種は俺が知っているのより少しだけ形が変わっているがだいたい操作方法は同じみたいだ。
よーし。じゃあちゃっちゃっと連絡先確認して電話しちゃおーか。
……というのが甘い考えだった。
「おいおい、なんじゃこれ」
思わず声に出てしまった。
結果をいうと伊藤と桜井の連絡先はあったのだ。ただしそれだけ。他には一切ない。
おいおいおかしいだろーよ。
なんで連絡帳に2人の名前しかねーんだよ。もしかしてこの時代の俺はコミュ障か?なんかあったのか俺。
なんだか心配になってきた。
とりあえず伊藤に電話して見るか……
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