現状維持

 風がそよぐ

 胸が躍る

 今日はこんなにいい天気


 稲穂が踊ってる

 そこは黄金色の絨毯

 みんなそろって揺れている


 日が暮れるまで遊んだ

 カラスよりもずっと遅くまで

 茜色の真下で今日の事だけ考えていた


 そう、それは懐かしい記憶

 この空を見てたら思い出して

 公園のブランコに座ってみたりして


 気持ち良い風が頬を撫でていく

 転がる空き缶をごみ箱に放り投げ

 誰も居ないここにさよなら


 コンビニに行けばそれなりに人が居て

 淋しい人たちが淋しいままで

 僕も隣に立ってマンガを読んでいる


 季節は巡り来るのに

 いつまでこのままなんだろう

 それでもそれなりに満足してるから

 まだ暫くはこのままでいいや


 そうして街はもう別の顔を覗かせていた

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