忘れ物

 誰も居なくなったガラクタだらけの塔の中で

 風たち無邪気に遊んでる


 使われなくなった時計

 観る人の居ない絵画

 スイッチの壊れたラジオ

 割れた窓のスキマからは蜘蛛


 昔はここも随分賑やかだったものさ

 日が上っても沈んでも

 月が照らしても闇夜でも

 ああ それは在りし日の幻


 おばけさへ寄り付かないね

 ずっとずっと昔からのシルエット

 雑草だけが賑わっている


 そっと風景に溶け込んで

 夕暮れ時に黙ってそびえて

 もう 誰もそこへは行かれない


 みんな見上げるだけで精一杯で

 やがて幾つかの物語も生まれて

 そしてこないだの大嵐で

 今はもう何も無くなっちゃった


 ガラクタだらけが散らかって

 いつしかここも埋もれてく

 みんなみんな忘れてく


 まるで夢みたいなものだね

 きっといつか僕らも

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