締め切った窓

 メガネザル 不思議な顔してこっちを見てる

 そっちのほうが珍しいよとブラウン管に独り言

 窓の外は雨音で満ちている


 何処からかカエルのうたが

 切り取られたこの部屋で

 蛍光灯だけが眩しくて


 本能に従って布団にもぐって

 本当ならそれが一番いいけれど

 眠っているはずの時間とっくに過ぎている


 水たまりの水かさ少しずつ増えて

 田舎の道は少しずつ柔らかくなる

 水気を帯びた気配がゆっくり滲んでいく


 ずっと続く雨の中で

 いつの間にか今日が終わってく

 明日もまたこんな風だろう

 天気予報 本当の事教えてよ


 何処にも出掛けられなくったって平気

 いつまでも一人だって平気

 だって今までもそうだったし

 明日からもきっとそうだろうし


 最後に傘をさしたのいつだっけ

 そう、それはまだ希望が残ってた頃

 夢の続きを夢見られていた頃

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る