一夜の夢

 麗かな日差し

 こんな日は そう

 風も桜色に染まる


 音の居なくなった世界で

 風景だけが流れていく

 何もいらない

 目に映るものだけで

 この並木の中に居るだけで


 花は力強くも儚くて

 みんなその魅力に酔っている

 妖しげなる宴のその主は

 今も彼の地で笑っているのか


 こぞって咲き乱れる公園の

 そこに一歩踏み入れたなら

 異界への扉開かれん


 月夜の滴受け取りて

 哀しく笑う泡沫の

 酔って忘れよ何かも

 見れば何処も同じ顔


 街頭に照らされる夜桜に

 スポットライトの主人公を見る

 幾千の星たちに飾られて

 愛の唄は虚空に消える


 祭りの後の寂しさよ

 悲しみに耐え切れずお前は泣くのか

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