メビウス

 遠い遠い遠い昔の僕は

 一体何をしていたんだろう

 遠い遠い遠いあの空の向こうに

 置いてきた記憶


 ずっと昔から空は空で

 ずっと昔から山は山で

 ずっと昔から海は海だった


 毛虫の頃は葉っぱを食べるのに夢中で

 小鳥の頃は虫を食べるのに夢中で

 ひまわりの頃は太陽を追いかけるのに夢中で


 雨のたびに生まれる水たまり

 鏡の中、その全てをさかさまにして

 覗き込む猫だった頃の僕


 ずっとずっと昔は息さへしていなかった

 ずっとずっと未来、僕はまだこの星にいるのだろうか

 遠い遠い遠い星の空で昔を想ふだろうか


 月夜に吼えていた狼だった頃の僕

 いつも何かにおびえていたひつじだった頃の僕

 自由に大地を駆けていた馬だった頃の僕


 今は今の事しか憶えてないけれど

 きっとそんな事も忘れてしまうんだろうな

 たった一度きりの人生って事にして

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