半妖失業者と禁忌魔剣

たけるんば@

第1話

________燃え盛る炎の中、アルクは少女を抱きかかえ、嗚咽をしながら少女の名前を叫んでいた。


「セリス!セリス!!死なないでくれ!!セリス!!!」


そんなアルクを見て、少女はにっこりと微笑むと、その華奢な手で、アルクの涙をそっと拭った。


「…………泣かないで、アルク。あなたに……そんな顔は似合わない……」


「ごめん!!本当にごめん!!!僕がもっと早く駆けつけていれば……」


「ううん、アルクは悪くないの。だから、謝らないで……」


「………でも、セリス……」


滝のように涙を流すアルクの頭を、セリスはまるでこどもをあやすようにそっと撫でる。


「ねえ、アルク。約束……しない?」


「約束……?」


「うん。……もしね、この先、アルクにまた、私くらい大切な人ができたら、今度はその人を守ってあげて……」


アルクは首を横に振る。


「そんなこと、あるわけないじゃないか!!だから頼む!!……死なないでくれ……」


「ううん。私がそれを望んでるの。アルクには、これから先、私がいなくても幸せな人生を送って欲しいって。だから……もう一つ約束……」


「…………………」


「もし向こうでまた出会えたら、その時は、また私を選んでね。その時まで、私ずっと待って………」


少女の心臓の鼓動が、ピタリと止まった。


「セリス!!セリス!!セリス!!!!!」


業火の中、少年は、たった今その灯火を消した少女の名前を、声が枯れ、日が明けて、炎が収まってもなお、叫び続けていた。

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