二ツ星剣士の召喚戦記《ガチャりれき》

法空絶汰

第1話 チュートリアル

 駅に向かっている途中、酷い目眩に襲われた。

 ああクソ、絶対脳貧血だ。ちゃんと朝飯食べたのに。それとも脱水症状か? 

 今日は今年始まって一番の猛暑日らしいからな。これから大事な期末試験があるっていうのに。

 とにかく、一旦休憩だ。早めに出たから時間に少しは余裕がある。ほんのちょっと休めばすぐに良くなるはずさ。

 俺は道の脇でしゃがみ込んで目を瞑る。五分も休めば大丈夫だろう。瞼の裏にはチカチカした模様が見えるが良くあることだ。ほら、少しは頭が軽くなってきた。

 だんだん視界が良くなっていく。ぼんやりとしていた世界はやがて姿を現した。いや、正確には姿を現したのは世界ではない。俺の目の前には一人の女がいた。

 穏やかに流れる翡翠色の髪。それとは対照的に力強く輝く深紅の瞳。どう見ても日本人ではない。しかしその作り込まれた芸術品のような美しさを持った女に対し俺はどこか懐かしい気持ちを感じていた。

 女は女で俺のほうをマジマジと見ている。そしてこちらを観察してから一言。


「チッ、はずれか」

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