接続作業
僕は宇宙服の中で音声入力式チャット通信をしているので、会話をするようにチャットを行う。
順平 光帆さん。ハッチ内カメラで異常はありませんか?
光帆 はい。異状はありません。
ハッチ開放を行います。
僕は宇宙服からラチェットスパナを取り出す。
手が震えていた。
やはり怖いらしい。
綾音 順平さん。落ち着いて手順通り行ってください。順平さんならきっと大丈夫です。
光帆 頑張って(#^^#)
順平 みんなありがとう。
みんなの応援がうれしかった。もう怖くない。僕の命は僕だけのものじゃない。みんなを守るためにある。
自然と手の震えは止まっていた。
僕はラチェットスパナをボルトに当てると回し始めた。
右側を緩め、今度は左側を緩める。
焦ってはいけない。平常心だ。
「もう怒った。船を停船させろ。俺が直接乗り込んでいってやる。大人を侮辱したらどうなるか思い知らせてやるよ」
「はてさせ、それを私が許すと思っているのですが?海賊行為は三原則の対象外になると言うのをご存じないのですか?」
「ビショップ先生は男を鍛えるのと男に罰を与えるのが好きなのは知っているでしょう?」
「だからこえーよ。早くビショップを停止させろ。海賊行為は正義なんだ」
何を言っているのだか。
でも時間はなさそうだった。
やっと右側のボルトが外れる。僕はボルトを取ると、宇宙服についているポケットに収納した。今度は左側を緩めていく。
左側のボルトを外すと僕はボルトを宇宙服のポケットに入れる。
順平 光帆さん。ハッチを開放して大丈夫ですか?
光帆 はい。制御系ケーブル、動力ケーブルに異常はありません。
僕はラチェットスパナを宇宙服の工具入れに直すと左手でハッチの側に取り付けられたバーを持ち、力任せにハッチを開く。
無重力の状態では四肢が安定しないからだ。
ハッチを開くと僕は突っ張り棒をハッチの中から取り出すとハッチの固定を行う。
順平 制御系ケーブル、動力系ケーブルどちらにも電流は流れていませんか?
光帆 はい。大丈夫です。
順平 これより制御系ケーブルを接続します。
僕は制御系ケーブルを差し込み口に接続する。
綾音 自動点検シークエンスをを始めます。少し待ってください。
順平 了解
もし迎撃ミサイルシステムに異常があれば、もう一度この場所に来ないといけない。そんな事はしたくなかった。点検時間が長く感じる。一分一秒が長く感じる。
光帆 綾音さんは頑張っているよ。もうすぐ終わります。
僕の気持ちを読まれたかのように光帆さんからチャットが入る。
綾音 制御系ケーブル及び迎撃ミサイルシステムに異常は見られません。電流は切 断されていますので動力ケーブルの接続を要請します。
順平。了解。動力ケーブルを接続します。
僕はそう宣言すると動力ケーブルをやはり差し込み口に差し込んだ。
順平 光帆さん、動力ケーブルに異常はありませんか?
光帆 異常はありません。
順平 ハッチの閉鎖を行います。
僕はハッチの蓋を固定してた突っ張り棒を収納すると、ハッチを閉じた。
ラチェットスパナを取り出して右手に持つ。
宇宙服のポケットからボルトを取り出す。
右側からのボルト穴に合わせるとボルトを締め始める。
落ちつけ。僕は何回もしてきた事じゃないか?
大丈夫。
右側のボルトを途中まで締めると、今度は左側のボルト締めだ。
ボルトを半分くらいに締める。
右側のボルトを締め始めた。そのままボルトを固定する。
右側のボルトの固定が確認すると、左側のボルトも固定する。
順平 ハッチの固定完了。戻ってもいいかな?
光帆 大丈夫です。
綾音 戻ってきてください。お礼はブリッジで言います。
僕はラチェットスパナを宇宙服の道具入れに入れると安全帯のフックを外し、命綱を巻き取りながら、エアロック向かった。
「お前らもしかして、時間稼ぎしているのか?」
「じらす女が良い女と言うでしょう?」
「この小娘が!時間稼ぎしても誰も助けにこない。無駄な事をしたな。さんざん馬鹿にしてくれたお前から犯す」
やばい。早く戻らないと、僕は吸着靴を強く踏みしめる様にしてエアロックまで急いだ。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます