整理整頓作業。フラグが立ったのかな?

僕は運び込んだ水や食料を整理していた。もちろん綾音さんも一緒だった。

どこに何が運び込まれた確認する必要があると言っていた。

食糧庫にセンサーとかついていなくて目視で確認しなければいけないそうだった。

それに僕には食糧管理者とかの資格が無いので綾音さんの監督と指導の責任がある。

宇宙空間では簡単に食料は手に入らない。

酸素や水もそうだけど。

酸素は循環系のセンサーで、生活用水兼飲料水はメインタンクのセンサーで確認する事ができるらしい。余分に搭載する事が認められている。

いらない事を考えているのは止めて荷物の整理整頓を始めよう。

「綾音さん、食料はどういう風に積み込めばいいのかな?」

「段ボールから出して一日ごとに朝食、昼食、夜食に分けて積み込んでいっていください。ご飯を統一して食べないと日にち感覚が乗員の間で別れる事もありますし、同じものを食べるのは乗員の一体感を高めますから」

「そうだね。違う物を食べていたりしたら、食料管理が難しくなるよね」

僕はそう言うと食糧庫にあるスライド式の扉が付いた棚に段ボールからレーションを出し、積み込んでいった。

「綾音さん、何でスライド式のドアがついているのかな?」

「それは重力制御が切れた時や衝撃を受けた時に開閉式の扉だと、扉が開いてレーションが散乱する恐れがあるからです」

「良く考えられているんだね」

「こう見えても軍艦ですからね。私も手伝います」

こう言う時は高い所に食料を収納しようとして、こけかけてそれを支えてり、収納できなくて、僕が手を貸して、手が触れあうなどと言うイベントが古典的ラノベ的にあるのかな?

鉄板のネタだけど。

もしかしたら食糧庫のドアが閉じて、誰かが見つけに来るまで二人っきりとか?

何を考えているんだ。綾音さんはアンドロイドだし、ドアの開閉くらい自分できでる。雑念はいけない。

僕は雑念にとらわれたまま、開けておいた段ボール箱に手を伸ばす。

「あ」

綾音さんの恥ずかしそうな声が聞こえる。

「ごめん」

段ボール箱に手を入れようとしていた綾音さんの手にやはり雑念にとらわれたまま、段ボールに手をやった僕の手が当たった。

まさかの展開。僕の方が驚いてしまった。

女性に対して免疫のない僕はドキドキしていた。

相手はアンドロイド、考えちゃだめだ。

人間じゃない。

でも人格と女性としての形をしている。

だからだめだ。

「順平さん。顔が真っ赤です。私はアンドロイドですか、そんなに意識してくれなくても良いのですよ。でも順平さんが、ちゃんと女の事して見てくれる事はうれしいですよ。私を機械として扱わない順平さんぐらいですよ」

「ごめん」

ますます混乱してくる。

ごめんとしか言葉が出てこなかった。

「謝られて方が傷つきます」

「ごめん」

「だから謝らないでください」

「これはその、綾音さんが可愛いくて魅力的と言いたくて。緊張していて」

「からかわないでください。感情処理能力がフリーズするかもしれません。私も余裕がありません。作業をしましょう。私が段ボールから食料を取り出します。棚に積み込んでいってくれますか?」

「分かった」

非効率的な事かもしれないけど、それしか方法が無いようだった。

僕達はもくもくと仕事を続けていく。

食糧を受け取る時に綾音さんの手が僕に触れる事がある。

そのたびに緊張感が増していくのだった。

・・・

・・・・・・

・・・・・・・・・

やっと食料の積み込みが終わる。

今度は非常用食料の収納だ。

「あ、綾音さん。非常用食料はどこに積めば良いのかな?」

緊張のあまり、さびつた声帯をなんとか動かして、綾音さんに尋ねるのだった。

「奥の方の棚です。そんなに緊張しないでください。こっちまで照れてきます」

「ごめん」

「順平さんはかわいいですね」

「かわいい!」

「かわいくはないとおもうけど、いくよ」

そう言って僕は運び込んで来た、食料を台車に乗せなおすと食糧庫の奥に向かっていくのだった。 

                                   続く











  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る