乙女な綾音さん
僕からタブレットを受け取り、ポスターの原案を見た綾音さんが言った。
「私じゃないですか!このポスターはダメです。恥ずかし過ぎます」
ポスターには綾音さんの船体をバックに膝をつき、祈りを膝をつき、両手を組んで祈りを捧げる様にする綾音さんのイメージ画像を張っていた。
「でっでも宇宙船を使って活動するのだから綾音さんの船体データと綾音さんをポスターの題材にするのは間違っていないと思うよ」
どもりながらもなんと答える。
アンドロイドの綾音さんとは言え、女性に免疫の無い僕は女性と交渉すると言うのはやっぱり恥ずかしい行為なのだった。
でも船体も綾音さんに間違いない。
だから僕は言葉を続けるのだった。
「たくさんの人に人に見られるなんて恥ずかしいです」
「綾音さんの画像が最適だと思うよ」
「だめです」
「綾音さんの人型はかわいいしね」
ぷしゅー
綾音さんから何か音がする。
「過負荷による緊急停止プログラムが発動しました。セーフモードに入ります」
機械的な音声でそう告げると綾音さんはゆっくりと床に向かって倒れそうになった。
「綾音さん!危ない!」
僕はあわてて綾音さんが転倒するのを防ぐために優しくを受け止める。
アンドロイドなのにほのかに暖かくてやわらかい。
だめだ。一体僕は何を考えているのだ!
綾音さんは僕のせいでセーフモードに入っているのだ。
「綾音さん、綾音さん」
綾音さんに声をかける。
立ち直ってもらわないといけない。
初めて綾音さんと出会った時もそうだけど、人型インターフェイスアンドロイドの再起動なんて習った事がないのだ。
壊した?
罪悪感と綾音さんの事が心配だと言う二つの気持ちが持ち上がって来る。
セーフモードを起動中で体の制御ができないのなら寝かした方が良いのかな?
僕はそう思いゆっくりと綾音さんを床に寝かせるべく僕はゆっくりを膝を折り曲げる。綾音さんの全体重が僕にかかり、体を密着する事になった。
ささやかな自己主張をする綾音さんの胸が僕の体にあたる。
その事を感じて僕は鼓動が高鳴る。
だめだ。僕はせいでセーフモードに入ったんだから。
僕はゆっくりと綾音さんを床に寝かしつける。髪の毛を床につけるのはかわいそうかな?
膝枕をしよう。ラノベ《古典》みたいだけど。
ラノベ《古典》の知識が役に立つとは思わなかった。
綾音さんの頭を持ち上げて膝枕をするのだった。
少し待ってみた。
なかなか起きない。
すぐに再起動するとも思わなかったけど、なかなか再起動をしないのだった。
どうしよう?
髪の毛は敏感と言っていたけど、触ったら再起動してくれるかな?
僕はゆっくりと綾音さんの髪の毛を撫でてみる。
とても柔らかい髪質だった。
僕は何を考えているんだ。
髪の毛は綾音さんのアンテナなんだぞ。
髪の毛を撫でていると自然と綾音さんの寝顔に目が行く。
とても優しい寝顔だった。
オタク
性格も良くて、かわいらしいキャラクターに使う言葉だったかな?
出典が良く分からないけど。
オタク
だから違う!
綾音さんを起こさないといけない。
もう少し神の毛を撫でてみよう。
別に深い理由は無くて、ただ撫でていると起きてくれるのかなと思って。
だから僕は誰に言い訳をしている!
僕は勇気を出して撫でてみた。
反応が無い。
もう少し撫でないといけないのかな?
綾音さんの髪の毛を撫でていたいと言う邪悪な気持ちがわいてくる。
もう一度だけ。
それにしてもかわいい寝顔をしている。
だめだって。そう言う邪な気持ちを持つなんて。
そう思いながら髪の毛を撫でるのだった。
フィーン
綾音さんの冷却ファンがなる音だった。
でもどこに冷却ファンがついているのだろう?
ちょっと気になる。
ゆっくりと綾音さんが目を開ける。
ぱちぱち
何回か瞬きをする綾音さん。
「おはようございます。順平さん」
微笑みを浮かべながら挨拶をしてくれた。
これって寝ぼけているのかな?
僕は自然と綾音さんの微笑みに引き付けられる。
「おはようございます。綾音さん」
自分でも間抜けだと思うのだけど、挨拶を返す。
綾音さんにどう接して良いか分からないから。
それにプログラムかもしれないけど、微笑んでくれている綾音さんを否定したくなかったから。
「セーフモードを解除します。艦内センサーお呼び艦内カメラのデータを転送します。記憶領域を確認します」
・・・
・・・・・・・
「ふにゃー!」
「どうしたの?綾音さん」
「順平さんごめんなさい。セーフモードに入って上に順平さんに膝枕させるなんて」
「大丈夫だよ」
「何が大丈夫なのですか?セーフモードに入って転倒しない様に抱きかかえられて
、その上順平さんに膝枕をさせるなんて、これじゃただの残念な女の子じゃないですか?私は軍用に設計された丈夫さが売りのアンドロイドです。なのに順平さんに迷惑をかけるなんて」
綾音さんは混乱している様だった。
その綾音さんを見て僕はなんだか優しい気持ちになるのだった。
「大丈夫だよ。ちょっとびっくりしたけど再起動してくれてからね」
「もう起き上がれます」
「大丈夫かな?もう少しこのままでも良いからね?」
「もう大丈夫です。足はしびれていませんか?」
「鍛えているから大丈夫だよ」
「立ち上がります」
「立ちくらみとかしないかな?立ち上がる時、僕の肩を持っていいからね」
「私はアンドロイドなので構造上立ちくらみはありませんよ。順平さんは不思議な方ですね。アンドロイドにそこまで気を使わなくていいのに。お言葉に甘えて肩をかりますね」
綾音さんは立ち上がる。
それを確認して立ち上がるのだった。
続く
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