その少女は?
何かやわらかい物が頭を支えている。どう言う状況だろう?
僕はまだかすかに残る痛みを覚えながら目を開ける。
目を開けると艦長席に座っていた少女に見つめられていた。
視線が合う。
どうやら膝枕をされているみたいだった。
少女は心配そうに僕を見つめていた。
「大丈夫ですか?」
甘い優し気な声がする。
「少し痛むよ。君は?」
「音級フリゲート26番艦、綾音です」
「船?」
「はい。そうです」
船が人の形をしている訳が無い。
混乱してきた。
「君は人間なんじゃないかな?船とは思えないよ」
「はい。説明しますね。私は船の中枢制御を行う人型インターフェイス。アンドロイドなのです。気軽に綾音と呼んでください」
「じゃあ、さっきの攻撃は?三原則が入ってないのかな?。人を攻撃できないはずじゃ?」
綾音さんは僕の額を右手で優しく撫でてくれる。
「まだ痛みますか?」
「ほんの少し。」
「ごめんなさい。自分の身を守るための緊急防護プログラムが働きました。三原則の第2項宇で自分の身を守らないといけないです。私は寝起きと言うか立ち上がりが遅くて艦内の人感センサーや乗員名簿や社員記録への閲覧が遅れました。名簿関係のアップデートが遅れていて。ごめんなさい。相沢順平さん。人感センサーと乗員名簿の照合でできずに対テロリスト用の緊急防護プログラムが働きました。本当にごめんなさい」
一通り説明をしてくれる綾音さんだった。
「そう言う事情なら仕方ないよ。気にしないでね」
「それにしても人感センサーが働かないって、海賊やテロリストに襲われたら船を壊されます。どうしたんでしょう?」
綾音さんは深刻そうにつぶやくのだった。
心配する所が少しずれている。
綾音さんはアンドロイドなのだと実感した。
「でもどうして、僕の名前が乗員名簿に登録されていたのかな?」
「ええっと、私のオーナーである工藤亜里沙さんが嬉しそうに乗員名簿とクラブ申請のための創部名簿に相沢さんの名前を嬉しそうに書き込んでいいました」
「僕の意志はどうなっているんだろう?艦長じゃないの?」
「オーナーは楽しそうに相沢さんは戦争に行っても何の役に立たない腰抜けだから私が武装運送会社に雇ってあげると嬉しそうに話していました。オーナーと言うのは艦長がまだ正式に艦長の資格も社長としての登記も部長としての資格も持っていい無いのでオーナーと呼んでいます」
僕はその話を聞いて嫌な気分になるのだった。自分だけ戦争へ行きたくない腰抜けだと思っているからだった。表情と気持ちが暗くなる。戦争に行って前線で戦っている人がいるのに徴兵拒否を狙っている自分が嫌だったし、その気持ちを他者に指摘されるのは辛かった。
その僕を気遣う様に綾音さんは優しい表情になり話し出すのだった。
続く
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