第17話ベルセルク編 許せない行為
「暴帝」狩りで起こっていたこと、それはチート行為だった。チート行為とは、ゲームプログラムを不正に弄ってアイテムを出したり、キャラクターを無敵にしたり、キャラクタースピードを上げたりと多岐に渡る。
どのチート行為もゲームバランスを著しく壊し、場合によってはゲームプログラム自体に障害を起こしてしまい、ゲームサーバーに致命的な影響を与えることがある。
チート行為は数ある不正行為のなかでも、実際に逮捕される可能性もある別格の不正行為だ。
今回発覚したチート行為は、「暴帝」への不正なダメージだった。「暴帝」はドラゴンバスターオンライン初のレイドボスと言われるボスで、フィールドを自由自在に動き回る。
戦闘を挑むと、挑んだプレイヤーのパーティのみがボスエリアに移動できるが、独占を防ぐため、一回につき10分またはパーティが全滅するまでと定められている。
レイドボスである「暴帝」に与えたダメージは回復することなく、どれくらい残り体力があるか、「暴帝」をクリックすることで見ることができるというシステムである。
チート行為はギルドというチーム単位で行われており、挑んですぐ死亡帰りしているのだが、一回のアタックで「暴帝」の体力がなんと10パーセントも減っていた!
リベールが全力で10分戦闘した場合でも、20パーセントも削れないにもかかわらずだ。たった10秒やそこらで10パーセントも「暴帝」の体力が削れることはありえない。
竜二はチート行為を激しく憎む。チート行為はゲームそのものを台無しにする。
リベールを使ってでも、彼らのチート行為を妨害しなければと竜二は固く決意する。
どうやって彼らを妨害するのかだが、グルードが任せてくれと言っていたので、竜二はグルード達に協力することに決めたのだ。
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[暴帝退治の王命]少女騎士リベール その186ぺったん
<スペック>
名前:リベール
性別:女
職業:ベルセルク
特徴:身長低め、茶髪アップに黒目の怜悧な顔、ぺったん
装備:武器 レア度9常闇の斧 レア度8 竜鱗の軽鎧(薄い赤色)、海龍皮のスカート(青)、龍燐のスカートガード(薄い赤)
出没場所:久しぶりの戦闘職!意外にも「暴帝」討伐だ!
84.名無しのドラゴン
「龍の大地」にリベールたんが出現したぞー!
85.名無しのジャッカル
何だって!てっきり、「雷神の王狼」を狩ると思ってたのに。
88.名無しのバスター
久しぶりにリベールたんやる気だぞ。ベルセルクだ。
89.ぺったんマスター
軽鎧のリベールたんも良いものだ。ハアハア
90.名無しのバスター
>>89
お前はそればっかだなww
91.名無しの魔法少女
「雷神の王狼」行こうと思ったけど、リベールさん見に行こうかなー。
93.名無しのドラゴン
現在観察中www
94.名無しのバスター
同じくwww
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荒涼とした乾燥した台地。ところどころに灌木や背の低いブッシュがあるフィールドは「龍の大地」とよばれる。ここに「暴帝」は棲息する。
「暴帝」は龍の大地を縦横無尽に動きまわり、自らも戦闘を仕掛けてくる。最も大概はプレイヤー側が取り合っているので仕掛けられる側なのだが......
リベールが龍の大地を訪れると既に多数のプレイヤーが「暴帝」を取り囲んでいたが、戦闘を行っていないプレイヤーまでがっちりとひしめいている。
ドラゴンバスターオンラインでは、ボスを始めモンスターの全てとプレイヤー同士はすり抜けることができないため、プレイヤーに道を防がれると通行することができない。
「こんにちは。一体これは?」
「ああ、パンプキンブラザーズを入れないように囲んでるんだ」
「パンプキンブラザーズって?」
リベールが不思議そうにすると、察したのか小柄な男性は口を開く。
「例の行為をやってるギルドだよ、リベールさん、ここ開けるから中へどうぞ」
例の行為とはもちろんチート行為のことだ。リベールは男の開けてくれた隙間から中へ潜り込むと、ちょうど「暴帝」戦が終わったパーティが出てきたところだった。
見たところ、残りの体力は20パーセントほどだ。
「みんなー。騎士リベールが来たぞー!」
誰かがシャウトすると、場はおおいに盛り上がる!
「リベール!」
「騎士リベール!」
「王命をこなせ!」
うわあ。やっぱこの空気なのね。と内心辟易しながらもボスの元へ向かうリベール。
「リベール殿。王命ですか?」
片膝を付き、リベールを出迎えたのは白銀の全身鎧に身を包んだ騎士風の男だった。濃い茶色の髪は短く切りそろえられているものの、ボサボサ頭でどこか頼りない印象を受ける顔。手には長柄の穂先が鈍い青色に明減する武器を握りしめている。
この武器は斧剣――別名ハルバードと言われる武器で、突く叩く切る全ての攻撃ができる万能武器だ。出来ることが多い反面、ポテンシャルを最大限に引き出すのは難しい玄人好みの武器として知られている。
ハルバードを装備できる職業はただ一つ、近衛騎士のみだ。
近衛騎士かあ、リベールは平騎士の設定だからここはあれだよな。
「はい。王より王命を拝命いたしました。チーズポテト様」
リベールは敬礼のポーズを取り、近衛騎士――チーズポテトに敬意を示す。
「私はただの近衛ですよ。様はいりません」
「そうですか。ではチーズポテト殿と」
しかし、チーズポテトさんもノリノリだなあ。こっちはロールプレイで仕方ないとは言え、付き合う必要もないのに。いろんな人に見られてるので恥ずかしいんだけど.......リベールは頭を抱えたくなる。
「今回はベルセルクですかな。王の騎士リベールの実力間近で拝見してもよろしいですか?」
「ええ。では、行ってきます」
龍の鱗で出来た軽鎧に身を包み、両手には吸い込まれそうな闇色をした両手斧を携えたリベールはボスエリアへ静かに消えていった......
「暴帝」は使い古されたキャラクターではあるが、定番であるティラノサウルスをほぼそのまま取り込んだ形をしている。体高15メートル、大きな口から見える鋭い牙。口からは腐食性のヨダレを垂らし、大地からは煙が上がっている。
モデルとなったティラノサウルスより、爪がさらに鋭く長い。尻尾の背中側にはブレード状の牙が並んでいる。
最大の攻撃は、練習モードが実装されてから各地で悲鳴が上がった「引き込み」だ。巨大な口と頭を持つ「暴帝」は、それなりの速度で噛み付きを行ってくるが、大きいだけに普通なら当たらない。 しかし、この噛み付き攻撃は範囲がありえないくらい広く設定されている。
つまり、「当たっていないのに、噛み付かれる」のだ。また、爪による攻撃も同じく、「当たっていないのに、引き込まれて噛み付かれる」のだ。「暴帝」が爪を振るうと、爪の攻撃は交わしてもなぜか口に引き込まれて噛み付かれる。
この、見えない攻撃範囲は散々非難されたものの、修正されることなくイベントを迎えた。輪をかけて「暴帝」の透明攻撃をひどいものにしていたのは、透明な範囲が毎回異なることだったのだ。
「暴帝」はティラノサウルスから想像される「暴帝」という名前でなく、透明攻撃の横暴さからくる「暴帝」だろと各所から突っ込まれるとんでもないレイドボスだったのだ。
※暴帝はバグだろ!直せ運営。BY作者
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