15秒ショートショート

仙石勇人

遊園地デート

 冷えた手で、彼女の冷えた手を掴むと、すぐにあったかくなった。見つめあうと、自然と笑みがこぼれる。

 大学生一年生の僕は、サークルで知り合った彼女と初めてのデートに来た。


大学から一つ隣の駅のほど近くに、新しくできた遊園地。


家賃を払ってたまに飲み会に出たらすぐにバイト代なんか無くなる。この日のために友達に頭下げて、なんとかお金をかき集めてきた。所持金10000円なり。

「今日は遊んで、食べて、遊ぶぞー」

「こないだ飲み会連チャンして、お金ないんちゃうのん?」

「お金のことは気にしなくていいから!」


入り口に近づいていくと、受付に列ができている。制服を着た受付の女性が、どんどん入場者を捌いていく。

「はーい、男性800円、女性400円になりまーす」

僕たちは手を繋いで近づく。わくわくするなぁ。


「あ、もしかして、お二人はカップルさんとかですね?」

「はい!」

「あら羨ましい!カップルさんはお二人でのセット料金になります」

「おいくらですか?」

「10800円になります」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

15秒ショートショート 仙石勇人 @8810kuma

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る