不死者狩りの死神代理
@watayuki
プロローグ
1 転生
「お早う御座います。えーと朝田次郎さん」
ん?ここどこ?
気付いたら黒い空間にいた。
黒い、その言葉がものすごく似合っている、それ以外に表現しようのない空間。
広いような、狭いような。
目ばたきしてみてわかった。
目がない。
身体すらなかった。
不思議な感覚である
「あの、聞いてますか?」
なんでここにいるんだっけ。てかここどこ?
「だからそれを説明しようとしているところなんです。戻ってきてください。あーさーだーさん!!」
うお?!誰かいた!?
驚いて声を上げようとしたけど声が出なかった。
てか誰君?居たんだ?
「端的に言えば死神です」
え?まじ?俺食べられちゃう?
やめて、俺美味しくないよ。
「とりあえず黙って下さい」
喋ってないけどね。
ていうか、人の考えていること読むとか、プライバシーの侵害で訴えちゃうぞ。プンプン☆
「黙って下さい」
笑顔で行ってきたけど目が笑ってなかった。
怖い。伊達に死神やってないな。
はいはい黙ります。
「なんですかその態度は⋯。まあいいです。とりあえず、あなたは死にました」
トラックに轢かれました。
ウェブ小説ではよくあるパターンだね。
「そこであなたに二つの選択肢があります。
一つ目、記憶を消して普通に転生。次の人生が人とは限りませんが、まあ記憶を失ったら関係ないですが」
いや、関係あるでしょ!
少なくとも今は!
「二つ目、記憶を保持したまま転生。この場合いろいろやってもらうことがあります」
いろいろって?
「世界番号1056894。名称アルカナルカ。この世界にいる不死者を殺してほしいのです」
え?不死者?殺す?
説明を要求する。
「言われなくてもきちんとします。まず世界観はあなたたちの世界の創作物でよくある異世界に似ています。そこらへんは転生すると同時に脳内にインストールしますのでご安心を。そしてその世界のある人が寿命を無制限に伸ばす魔法を作ってしまったのです。その魔法はあっという間に世界中に広まりました。その魔法のせいで寿命死する人が減り、魂が戻ってこなくなりました。最近ではその世界は不死者が溢れています。あ、不死者とは寿命死しなくなった人たちの総称です。まあそれで、魂が戻らなくて困っているんです。スペアもたくさんあるんですが、それも尽きてしまいそうで、そのため不死者たちを殺してほしいのです」
なるへそ〜。
スペアが尽きたらどうなんの?
「別の世界の予備の魂が無理やり引き寄せられます。最終的には世界が魂の量に耐え切れず崩壊してしまいます。さらに不死者たちは異世界に行く研究をやっていて、すでに何百人かの異世界人が召喚されています。このままでは異世界に行くのも時間の問題です」
うわっ。
結構やばくね?
それで俺はその世界に転生して不死者を殺し回るか、記憶を消して普通に何かに転生、のどちらか選べと。
「はい」
んじゃその世界行アルカなんとかって世界に転生するわ。
「本当にいいんですか?」
いいよ。面白そうだし。
ちなみに転生するときはどうやって転生するの。
赤ん坊スタート?
「いいえ。私が作った体に乗り移ってもらいます」
不死者って長い年月生きてるんだから、相当強いよね?
「はい。中には一万年ちょっと生きている人もいます」
勝てるの?
「頑張れば」
もう一つだけ質問。なんであんたが直接行かないんだ?
「これでも神なので忙しいのですよ」
オッケー。聞きたいことはもう残ってないからアルカなんとかって世界に転生よろ〜。
「アルカナルカです。本当にいいのですね」
うん。
「それでは、ご武運を」
突如、空中に放り出されたような浮遊感。
そのあとにくる猛烈な落下感。
ちょ、コワイコワイコワイイイイイイイィィ!!
誰か助けてえええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ⋯⋯⋯。
そうして異世界に転生した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます