トワイライトガンスモーク~狂騒の輻輳都市~チキチキ☆スプロールレース☆強奪せよ伝説の秘宝

@kamotama0316

カーテンレイズ

暗い室内で、低く響く男の声が電脳にこだまする。一方、少年のような声は、慌てているような、苛立っているような、そんな節を感じさせた。


「レイン、そちらの様子はどうだい。」

レイン「どうもこうも〈目標〉の動きが速すぎて僕は捕捉するのがやっとって感じ!あそこダウンタウンだよ!?」

「大方歩道でも走ってるんだろう。」

レイン「まーったくもう!!………あれ?グッドマンは今外?」

グッドマン「あぁ、今少し散歩をしていてな。」

レイン「こんなときに散歩ぉ!?僕にオペレーション任せっぱなしで!?もう!!まぁいいや!!とりあえずあの二人にはこのまま追わせるからね!」

グッドマン「あぁ、そうしてくれ。」

レイン「って事だから、新人のお二人さん。君達にかかってるよー。」


「うるっせぇなぁ!こっちだって見失わないのがやっとなんだよ!!」


低層のアパートの屋根を飛び移りながら、ワインレッドの髪の少女は叫ぶ。


「のろまだなぁ。それでも肉体派?」

「あたしは重火器専門なんだよ!あぁもうめんどくせぇ!!」


少女は腰のガンベルトからマシンガンを抜き、目標のバイクに向けて乱射する。


しかし、バイクは突如旋回急停止し、跨がる男は左右の腰のホルスターから拳銃を抜き、ニヤリと口角を上げると少女に向けて発砲した。


「バカバカバァーッカ!?ただの威嚇射撃だよぉ!!ホントに当てに来るんじゃねぇよ!!」


面食らい体制を崩した少女を、バイク男の凶弾が襲う。


「なにしてるでゴザルか、ガーネット。」


少女の前に躍り出て、腰の刀を抜く一人の侍。


ガーネット「椿屋ぁ!!」


閃光が瞬くと同時に、左右の壁に弾痕が二つ。


ガーネット「か、感謝なんかしてないからな!お節介なヤツめ!あたしでもギリ避けれてたんだからな!」

椿屋「はっは、そうでゴザルな。確かに、だけどそのお節介のお陰で、奴は止まったでゴザルよ。」


アパートの二階から飛び降り、バイク男へと降下する侍、『椿屋』。


バイク男はすかさず連射、銃弾が椿屋に向かう。


椿屋「残念だが、お主のそれはもう見切っているでゴザルよ。」


先程と同じように銃弾を刀で弾く椿屋。

しかし、バイク男は余裕をもって問いかける。


「跳弾って知ってるか?サムライ。」


瞬間、金属音と共に椿屋の刀が手から飛ぶ。


椿屋「バカな...!?」


地面に降り立つ椿屋。


「あーばよ!サ、ム、ラ、イ!ハッハァーッ!!」


バイク男は爆音と共に走り去る。


椿屋「...」


飛ばされた刀を椿屋は拾い上げる。


椿屋「なーにが、『跳弾って知ってるか?』でゴザルか。そんなもの承知でゴザルよ。」

椿屋「何もない空中の、どこをどう〈跳弾〉するでゴザルか。まったく。」

ガーネット「椿屋ぁ!大丈夫か!?」


アパートから飛び降り、轟音をたてて着地するガーネット。どうやら見かけよりも、相当な重量があるらしい。


椿屋「問題ないでゴザルよ。それより恐らく、奴も拙者やお主と同類でゴザル。」

ガーネット「同類だぁ?そりゃあいったいどーゆー...」

椿屋「空気を跳ねる弾丸。そんな芸当、ただの人間ができる訳がないでゴザろう?」

ガーネット「...ってことは...!」

椿屋「そう、奴も、拙者やお主と同じ力を持つ者。」


椿屋&ガーネット「「デイブレイカー(でござる)なのか!!」

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