終幕
「ああ、確かに残念だった」
私は親父にそう言い、やぶれたポイを差し出した。
「でも、一匹『すくった』親父、こいつはもらっていくぞ?」
そして、私は勝者のように笑う。
すると、にやりと親父も勝者のごとく笑った。
「へい。まいどっ」
親父は透明のビニール袋に水槽の水を汲み、私がすくった小赤を一匹入れる。
「また『すくいに』来てくれよ、お嬢ちゃん」
最後に、親父はそう言って私に金魚を手渡し、その後別の客へ顔を向けた。
「さあ、どうぞ。『遊んでいって』ください」
私は親父の言葉にくすりと笑い、戦利品を連れて祭りの喧騒の中へ踏み出した。
『赤備え』あるいは『二文銭の小赤』 奈名瀬 @nanase-tomoya
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