とりあえず時計の針でも壊してみるか。

はまなすなぎさ

虹の向こうにある、掠れた呟きを供養するためのどこか

孤独な君を繋ぎ止めていたい。




 消えない世界で僕を消そう。消える世界に僕を刻もう。天邪鬼あまのじゃくな僕らはいつだって孤独だ。でも僕と世界はイコールで、それは貴方ともイコールで、でも僕と貴方きみは血反吐を吐いてもイコールにはなれなくて、きっと見えている世界の外側に、独立した確固たる宇宙なんてなくて、全ては皆で示し合わせた退屈で。

 それなら僕の足掻あがく足跡は、虚無の時空を超えて君に何かを残せるだろうか。君と語った夜の温もりさえ二人分のホログラムを重ねた幻影だと云うのなら、僕の振り上げた彫刻刀は世界じゃなくて、君に直接想いを届けられただろうか。

 あるいは僕はこれからずっと、君の心に僕の彫像を刻んで行けるだろうか。



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