10/20/20:00――円つみれ・封印、一つ

 管理人がいるのは当然としても、実際にそれがどんな人間なのかを円つみれは一切知らなかった。

 そもそもこのご時世だ、同じマンションに住んでいたところで、言葉を交わす相手などいないも同然であるし、あったとしてもすれ違った時に軽く挨拶をする程度。隣に住んでいるお姉さんだとて、付き合いが多少はあって会話もするけれど、未だにつみれは名前すら知らないのが現状だ。

 だから、業務用とも思える無骨なエレベータで上の階に行ったことなどなく、そもそも最上階に部屋があり、今時は外部の人間が購入して管理するのが当然のようなマンションの中、管理人そのものが住んでいるだなんてことを、思いつきもしなかった。

 一人で乗り込んだエレベータに、結衣から手渡されたカードを通すと、パネルの表示が点滅するようにして消えて、最上階フロアへと勝手に移動する。そう時間がかからずに到着して一歩を踏み出せば、左右に通路が伸びているわけでもなく、やや閉鎖的と思えるほど狭い空間がそこにあり、目の前には玄関らしき扉が鎮座していた。

 後ろでエレベータの扉がしまり、逃げ場を封じられたような感覚が飛来する。わずかな緊張を示すよう、掌に汗をかきながら、ゆっくりとインターホンに手を伸ばそうとした直後、声がした。

『いらっしゃいませ、円つみれ様』

「うわっ」

 僅かに飛び跳ねて、背中の扉に肘をぶつけてしまった。痛い。

『驚かせてしまい、申し訳ありません。お怪我はありませんでしょうか』

「え、あ、うん、だいじょぶ」

 やや涙目になって答えてから、あれ、この声はマンションの入り口で聞くAIのものだと気付く。いや待て、AIでこの臨機応変な対応は――ありうるのか、と疑問に思いつつも、背筋を伸ばした。

『鍵は開いておりますので、どうぞ中へお進みください。主人様がお待ちです』

「あ……どもっス」

 扉に手をかけて引くと、そこは玄関だ。扉よりも広く、マットが敷いてあるだけで、靴箱はない。洋式なのかなと思いながら玄関を閉めて、お邪魔しますと声を放った。

『左手の扉にお進みください。それでは失礼致します』

 それっきり声が聞こえなくなった。

 玄関から出られるのは正面と左手側の扉だけだ。床は大理石でできており、掃除がどうのというよりも、高級そうだなあと思いながら左の扉をあけて中に入ると、そこは。

 広大とも呼べるフロアだった。

「う、わ……!」

 あるいはそこを、テラスと呼んでも良いのかもしれない。外側に面した場所は足元から天井までがガラスになっており、外が一望できる。フロアの中には支柱らしきものが点在しており、やや暗くなった室内は奥の方が見えないほどの広さだ。

 つみれの住んでいる場所など、比較にもならない。

「――こっちだ」

 妙に反響する声にびくりとしてみれば、なにもないと思えるフロアの隅に、一対のソファとガラステーブルがある。

 その片方に、彼は座っていた。

 煙草を吸いながら、座っている。カーゴパンツにジャケットという恰好で、やや尖ったような前髪で左目を完全に隠している、どこか陰鬱に見える姿で、そこにいた。

「えっと……」

「楽にして座れ。礼儀がどうのと、気にする場じゃねえ。話はラルから聞いてる。……以前、イヅナが拾ってきた時に、ラルも数日はここで過ごしたこともある」

「うっス、失礼するっス」

 近づいて、対面に座れば、相手がまだ若いことがわかる。慶次郎より若い――たぶん、まだ三十になっていない。

「ん……ああ、まだ二十八かそこらだ。驚いたか? 偏屈な爺を期待してたなら、悪かったな」

「そんなことはないんすけど……えっと、管理人さんなんすよね」

「なんだその話し方は。イヅナの仕込みか?」

「仕込まれてはないっス。イヅナって義父さん……慶次郎のことっスよね」

「そうだ。AI、一般公開されてる俺の情報を投影してやってくれ」

「――うおっ、なんすかこれ!」

「俺のデータだ」

「じゃなくっ、AR!? デバイスも使ってないのに!」

「そう難しいことじゃない。とりあえず目を通しておけ、簡単でいい」

 言って、カードのようなものをテーブルの上に置いた彼は、立ち上がった。

「俺の認定証だ。宝石のコーティングだから触るなら気をつけろ。酒は飲むか?」

「飲まないっス……」

「じゃあ珈琲だ。少し待ってろ……AI、イヅナに連絡入れろ」

 ふらふらと、寝起きのように歩く背中を見ても、よくわからない人物だ。とりあえずプロフィールでも確認しようと視線を向けた矢先、スピーカーから聞きなれた声が流れ出した。

『あれ、珍しいっスね、ベル先輩からの連絡なんて。仕事っスか? いつもあちこち経由しないで、直接言ってくれると結構助かるんすけど』

 うわ、あたしと同じ言葉遣いだ、とか思ったけれど、実際には慶次郎が先だ。変なところで似たんだなあ、と思っていると、応答する彼の声も聞こえてくる。

「――盗み見をするな」

『……なんのことっスか?』

「対応していいのか」

『冗談っス! いや、実際にゃしようかなーとか思ってたんすけどね、俺。でもやってないっスよ。さすがにベル先輩を相手に、ごまかしきれるとは思っちゃいねえんで』

「ラルからの連絡は行ったか?」

『うっス。ベル先輩に手を煩わせることになっちまって、なんか申し訳ない――なんて思ってないっスけどね! どうせ代わりの仕事一杯っスよね!』

「断ればいいだろ……」

『いやあ、ベル先輩とアブ先輩に関しちゃ、断るよりやっちまった方が、俺は楽なんで』

 とりあえずと、慶次郎は言う。

『こっちの仕事が終わったら、またそっち顔出すつもりなんで、つみれのことはよろしく頼むっスよ。状況やら何やらはこっち、把握してるんで』

「お前ならもっとうまくやれただろ」

『そう評価してくれるのは嬉しいっスけどね、なんでかこんな感じで』

「まあいい。ただ覚悟はしとけよ、俺の好きにやる」

『はは、そりゃ、ま、俺の責任っスね。じゃあお願いっス』

「おう」

 そこで、通話は切れたようだった。どういう関係なんだろうと憶測しつつも、表示された情報に目を通す。といっても、ハンターズシステムのオフィシャルサイト、通称をHsSヘイズが表示されているだけだ。

 基本的に狩人は世界規模。その中でも限られた、合計しても二十人には至らないランクSおよびランクSSの人間は、顔写真つきで紹介されている。その中の一人が、彼だ。

 ランクS狩人〈鈴丘の花ベルフィールド〉――ランクA以上に限定された宝石によるコーティングは、それ自体が本人証明と同様であるため、テーブルの上のカードにはSの文字しか記されていない。

 加工された宝石は、アレキサンドライト。

「ランクS……」

 仮に、ランクA狩人が戦場に足を踏み入れた際、一個師団を相手に単独で撃破可能、という情報は以前に聞いたことがある。といっても想像はできないし、実際には雲の上の存在としてしか受け入れられない。

 だからエイジェイの時も、そうだ。

 化け物だとは感じたけれど、それは認識が追いつかないがゆえの、結果だ。

 しかし一つだけ思い出した。

「五神……〝雷神トゥール〟ベルって」

 俺のことだなと、珈琲を両手に持って戻ったベルは言う。

「昔は狂壊の仔カテゴリーフィフスとも呼ばれていた。ほれ、熱いから気をつけろ」

「あ、どもっス」

 正面から顔を見ると、どこか眠たそうに見える。狩人だというのならば、エイジェイの方がよほどそう見えた――と。

「態度を変えてるイヅナやラルと一緒にするな。俺は外に出ても似たようなもんだ」

「――へ? あれ、あたし口に出してたっスか?」

「交渉術の初歩だ。相手の思考や感情を読み取って、それに近い言葉を返せば、相手は勝手にそう思って勘違いする。ところで、アブとは話をしたんだってな」

「アブ?」

「エイジェイなんて恰好つけてる野郎だ。狩人名は〈唯一無二の志アブソリュートジャスティス〉だから、身内じゃアブで通してる。本人は否定してるが知ったことじゃねえな」

「はあ、そうすか。……あ、おいし」

「んじゃま――イヅナは何も話してねえんだろ、どうせ」

「うん。えっとベルさんは、義父さんとは先輩後輩なんすか?」

「その辺りの話をしてやる。今は五神と呼ばれる五人は同じ施設で生活していた。ガキの頃に集められた俺らは、最初から狩人になるために育てられたわけだ。といっても、生き残りが五人なだけで、最初は大勢いたが。ちなみに出資者は錠戒だ」

「義母さんが所属してた……」

「ああ。で、当時の錠戒に捕獲されたイヅナは、ある気まぐれから、俺たちのいる施設に入ってきたわけだ。といっても、当時はもう俺たち五人しかいなかったし、いわゆる例外に当たる。育てたのは俺ら五人と、当時の訓練教官でもあった――キツネって爺だな」

「あ……それで、先輩って呼んでるんだ」

「らしいな。けど、イヅナは珍しい部類だぜ。何しろあいつは、望んで狩人になったタイプだからな」

「え……? エイジェイさんは、それしかなかったからとか言ってたっスよ。なろうと思ってなれるもんじゃないって」

「だから、珍しい部類だ。あいつはラルに逢うために、狩人を志望したわけだが、まあ俺らの仕込みがあったにせよ、なろうと思ってなった実例だろうな。まあ……イヅナに逢った時にそれを聞いて、ほかの四人が難しい顔してっから、俺が」

 言ったのだ。不可能ではないことがわかったから、可能性を少しでも上げるために。

「じゃ、全てを捨てろ――って言ったら、イヅナは人生って積み重ねを全部捨てて始めた。だから、結果だけ見れば、適性があったというより、適応したのか、あるいは適性そのものを作ったのか……くだらねえ話だ。なあ」

「え、や、うん、義父さんのことを知るのは良いんだけど、やっぱり理解が追いつかないんすよね」

「そりゃそうだ。しかし、ラルはともかくイヅナは大したもんだぜ? 少なくとも俺やアブは認めてるし、対等だと思ってる」

「うーん……」

「わかんねえか。そんなもんだよな。んじゃちょいと怖い話をしてやろう。現状で円つみれ、つまりお前の交友関係だが、お前の知らない相手を含めても二十三人が把握してる」

「――え?」

「もっと言えば、サミュエル・白井のことを調べたことなら、百人を超えてる」

「ぷ、プライバシーはどこっスか」

「ねえよ。調べようと思わなくたって、そのくらいの情報は自然と入る。だから、ナンバリングラインを抜けたのは良い方向の選択だな。あれは製作者のための情報収集アプリみたいなもんだ。間借りして勝手に使うこともできるが」

「うぬ……そんな簡単なことなんすか」

「まあ男爵位を持ってれば朝飯前のレベルだ」

「情報を守るって、難しいんだ……うわあ、本当に怖くなってきたんすけど!」

「イヅナに感謝しとけ。――ま、そいつもそろそろ終いだが」

「わけわかんないし……」

「それでも説明しとかなきゃ、比較対象がなくなるだろ。んじゃわかりやすく、戦闘のレベルでたとえてやろう。簡単に結論だけ言うなら、お前ら三人――つみれ、少尉だっけか、あいつとサミュエルが戦ったとして、生き残るのはお前だけだ」

「え? あたし? 護身術くらいは使えるけど、実戦じゃ役に立たないって笑われたんすけど」

「役に立つぜ、充分に。ちなみに、連理を含めなかったのはあいつが例外だからだ。その理由は今言っても理解できないだろうから、またいつかな。ちなみに、サミュエルと少尉、どっちが強いと思う?」

「ミュウ」

「馬鹿、――圧倒的に少尉だ。変な言い方だが、サミュエルが殺す前に、五十は殺せる」

「うそ、見えないっスよ」

「隠すことに関してはそれなりの技量があるからな。で――その少尉も、ラルには勝てない」

「うん」

「ラルはイヅナにゃ勝てない。イヅナは俺に勝てない。……戦闘に関して、簡単に言っちまうなら、そんなことだ。世界は広い」

「あのう……」

「なんだ」

「その広い世界で、ベルさんや義父さんはどうなんすか?」

「……まず、俺やイヅナと戦いたいって狂気を持ったやつがいねえ」

「そなの?」

「まあ、その前にだ、イヅナはひらひら逃げ回るし、俺の場合は子狩人チャイルドがいるから、そいつを殺せねえと意味がない。で、その子狩人は現状においておそらく五指に入るとなればだ、どうしようもねえだろ」

「え、五指って、五神のほかの――」

「あんな連中が届くかよ」

「ベルさんって凄いんだ」

「俺の本質は、お前よりも劣ってるけどな――ただの一般人だ。さてと、なにから聞きたい? とりあえずは俺から適当に話したが」

「質問? じゃあ、あたしの本当の両親――」

「ああ、お前を売り飛ばそうとしたから、事故死させたやつな。それが?」

「…………」

 二十秒ほど、口を開いたままつみれは固まってしまった。

「あ? おいAI、円つみれファイルの事故死に該当するデータ、展開してくれ」

「え、ちょ、いやっ、べつに疑ってたわけじゃ――」

「ほれ。当時、嵯峨さが財閥を主体として行われていたゲームパーティだ。ガキを集めて閉じ込め、脱出サバイバルゲーム。最初の一回目にして最後の一回だな。ちなみに、攫ったり孤児を拾ったりすると足がつくから、両親承諾の上で人身売買……なに落ち込んでんだ? よくある話じゃねえか」

「あ、あたしが自分で調べようと思ってたのに……!」

「こんな情報、一般公開されてるじゃねえか――ん? 狩人のデータベースだったか? まあ同じだ」

「違うし! 全然違う!」

「馬鹿、先に情報が入手できなかったお前が悪い」

「――ああもうっ、なにその無茶な言い訳!」

「言い訳じゃなくて、当たり前……ああそうか、お前って狩人じゃなかったっけ。まあいいか、どうせ俺の流儀だ」

「本格的にむちゃくちゃなんだけど……!」

「そうか? んー……そうでもないだろ」

「そうっス! マジで! ああもうちょっと、じゃあ」

「落ち着けよ」

「うっさい! ベルさんの電子戦技術を教えて! 見せて!」

「自棄になってるだろ、お前……まあいい。AI、アブに繋いでくれ。グリーンでいいぜ」

「――あ、このAIも凄いんだけど」

「は? なにが」

「対応がAIっぽくない」

「ああ、一般的な室内AIは単純に利便性を追求した結果、状況に応じて機能を行使するだけの代物だからな。もちろん、全館システムのこのAIも同様だが、学習と教育、それに伴った経験を積ませてある。それだけの話だ」

「それだけって……」

 それをプログラムでやらせている、というのだから呆れる。その困難さはプログラムに触れているつみれにもよくわかる話だ。

 本当の意味での人工知能など、よほどの偶然が積み重なったところで、創り上げるのに人生を費やす――そういうことだ。

「それだけだろ。大して難しい話じゃない」

『よお、なんだベル。暇潰し以外なら切るぜ』

「なあ、うちのAI知ってるだろ」

『は? お前んとこの……ってーと、シェルジュか? たまに話くらいはしてるぜ。それがどうかしたか』

「おかしいか?」

『んや、俺はベース持たないからやらんが、べつに。許容範囲だろ』

「だよな」

『なんの話だ……』

「円つみれ、知ってるだろ」

『へえ――ついにイヅナも情報解禁ってか? はは、よお円。今日は大変そうだなあ』

「え、や、あれ? えっと、今の話、どっか流れ変わってない?」

『は? なんで。ベルが円の名前出したってこたあ、そういうことで、返事したんだからそれが当たりだろ。なに言ってんだお前は』

「よくわからんのはこっちの方だな」

『なに言ってやがる、らしくもねえ。つーか、ベルは平気なのかよ』

「今のところはな。確認中だ――ところで、お前の〝パンドラ〟から情報抜くからな」

『ちょっと待て』

「時間稼ぎか? まあいいか。偉そうに、円が俺に電子戦の技術を見せろと言ってきやがったんだよ、それだけだ」

『円、もうちょい時間稼ぎしろ』

「えっと……その、パンドラってなに?」

「アブが作ってる情報端末だ。うちのAIと同様に、行動記録やら何やらのデータベース。俺たちは基本的に、仕事の評価や内容を記録するからな……ま、大抵はほとんど覚えているもんだが、癖みたいなものか。俺の技術を見せるんだから、手ごろな相手がいるだろ」

『てめえ……』

「文句あるか?」

『こっちはエンスと酒飲んで気分上上ってところだったんだぜ』

「それ、ミュウの父親だったよね? えっと……前崎さんから、荷物が届いて、それを取りにミュウが逢いに行くって言ってたから、伝えといて」

『へえ? おう、いいぜ』

「そろそろやる。AI、作業工程を全投影しとけ。対応するかアブ」

『だから出先だって言ってんだろ、多少は抵抗してやる。で? なにするんだ』

「こっちは指示出すだけだ。AI、〝ポーチドエッグ〟をパンドラに届けてやれ」

『てめっ――いきなりかよ!』

「ああ、円、手で触れれば拡大も移動もできるからな。ちなみにこっちが前処理をほぼリアルタイム表示、そっちのが俺のアタック方法。中央の立体はアタック状況の映像化だ。それと、最後の一つがアブの処理」

「……」

 甘く見ていた。

 なんというか、つみれが行う五分の処理が、だいたい二十秒ほどで終わっている。

「おう、対応するじゃねえか」

『うるせっ――あ? 遊びだエンス、気にするな』

「余裕そうだから追加サービスだ、〝アールグレイ〟を飲ませてやれ」

『余裕なんてねえだろ! しょうがねえ――〝大福もち〟と〝塩せんべい〟だ』

「AI、こっちは〝懐石料理〟で対応しとけ」

 つみれは出てくる情報を追うので精一杯だ。映画館のスクリーンに無数の文字が待つ暇もなく表示されて、それを追っている感覚に限りなく近い。

「……昔はよくやったもんだなあ」

『ん? ああ……さすがに、AI任せじゃなくベルがやるとなりゃ、手も足も出ねえけどな。俺だってそれなりに成長したろ』

「自慢するな」

『だいたい、お前のアタックは――ちっ、もう二層まできやがったか。デコイ使わずに全部本命っての、勘弁してくれ』

「隙を作るためなら全部デコイだ」

『そこんとこ、性格悪いよな』

 囮を出しておいて、それが成功するならばそれでいい。もし成功せずとも、囮に集中して脇を見せれば、それで終わりだ。相手としては、つまるところ、全部に対応しつつもガードを固めておかないと駄目なのである。

『気に掛けるほどの案件か?』

「あのイヅナが頼んだんだ、断る理由はねえだろ」

『はは、そりゃそうか。誤魔化しなしだ、世話焼いたって罰は当たらねえ――が、難しいだろ。ほれ、朝霧が育ててるとかいうガキ、あのくらいのレベルじゃね?』

「似たようなものだな。……今は、考えすぎている感が否めない」

『過ぎて足が止まるようじゃ問題だな。っと、俺の〝アッサム〟にも気づかれたか』

「そっちの〝ポーチドエッグ〟を出せば、時間稼ぎにはなるだろう?」

『稼いだ時間にやることがねえよ』

「それもそうか。……そっち、ミルエナがいるんだろ」

『はは、さすがにわかるか。まあな、なかなか面白い話を聞いてた最中だ。んなことより、どうよ円は』

「お前の方が先に逢ったんだろ」

『雑音の中じゃ紛れるもんもある。なんつーか、イヅナに似てるとこがあるかと思いきや、そうでもねえよな』

「鍵は、見えたか?」

『ああ、イヅナの仕込みだろ、あれは。気付いたが見ちゃいねえよ。なんだ、開けるつもりか』

「イヅナが俺に回したんだ、好きにさせてもらうさ」

『〝みたらし団子〟が壊されたんだが』

「ん? アールグレイを飲んだからだろ。四層まで行ったら一気にやるぜ」

『おい、マジか。俺、昔にそのパターンやられた覚えがあるんだけど』

「懐かしいだろ? AI、〝ポトフ〟と〝テリーヌ〟で仕上げな」

『シェルジュ、手加減って言葉覚えたか?』

『はい、アブ様。覚えています。――遠慮はいらないとのことですね』

『違うだろ! ってきやがった……!』

「で、どうする? 必要ならそっちに影響があるよう動かしてやるが」

『いらねえよ。必要なら俺が動く』

「そうならないようにしたいもんだ。――じゃあな」

『おう』

 通話が切れるとほぼ同時に、全ての表示が停止した。

「AI、セキュリティ構造のデータだけ抜いて立体投影しといてくれ――で、見せたが、どうだ」

「どうって……わかんない。え? 単一プログラムじゃないよね?」

「ああ……支援AIってわかるか」

「うん。電子戦の補助をさせるAIだよね。主にウイルスの準備や、状況に応じた開発をやらせて、サポートしてくれる簡易AIっスよね?」

「あれと似たようなものだ。ある特定方向を含んだ複数プログラムを、半自動的に射出、ないし対応するようなAIを個別で作ってある」

 それはつまり。

 つみれがコマンド一つでプログラムを呼び出して実行するように――彼らは、その作業を複数組み込んだものを〝一個〟として扱っている。

「気付いてなかったのか? 今日、アブのサーバにアタック――ああ、円がやったやつな。あれだって似たようなもんだろ」

「あ……」

「ちなみに、攻撃系はフレンチやイタリアン、防御系は和食、その他が中華って感じで割り振られてるのは、俺らの昔の教育だ。ちなみに、俺とアブのポーチドエッグの中身はまったく違うものだ。性質は似てるけどな」

「すごい……ぜんぜんわかんなかったけど」

「――それだ」

 いくつもの表示がされる中、ベルは煙草に火を点けた。

「わからない、ね。この程度のこと、お前なら理解して当然だと思って言ってんだけどな。ま、通じないのも理解の上だが……おい、こっちに意識を戻せ」

「あ、うっス」

「あのな、聞いてたかどうかはともかく、お前が持ってるある機能に関して、イヅナが封印を施してる。それが違う形で表面に出てくる場合もあるにはあるが……まあ、イヅナの行為自体にとやかく言いはしねえよ、今のところはな」

「そうなんすか」

「ああ。だけどそのままだと俺が面倒だ。いいか? 俺の問いに答えろ。円、お前の奥にある最古の記憶はなんだ」

「――え?」

「そしそれは」

 ベルは、つみれが回想するよりも前に言う。

「イヅナとラルがいる光景じゃねえのか」

「……」

「言った通り、お前にゃ生みの母親と、父親もいる。現実に存在している。で、間違いなくお前は売り飛ばされる直前まで一緒にいたわけだ――が、遡れるか?」

「え……? 父さんと、母さん……」

「昔の話だから? じゃ、お前を保護した祖父母のツラでもいいぜ」

「――」

 もやがかかっている、なんてレベルではなかった。それが当たり前のように、覚えているのだと思っていたのに、何もわからない。

 いや、わからないという表現はおかしいか。

 ――見えないのだ。

 なにもない、と言ってもいい。

 急に足元が喪失するような感覚に、びくりと躰を震わせる。慌てたように宙をかいた両手は、ソファの背もたれにあたって止まった。

「う、あ……」

「そんなに驚くことか? べつに偽りの記憶を暗示によって植え付けられたわけじゃない。現実にあったことを封じた……まあ、記憶にアクセスできないよう仕込んであるってだけだろ」

「だけって――なんで、そんな」

「は? そうじゃなきゃ、今みてえに、ぎりぎり一般人の領域で生活できねえからだろ。どう考えても」

「……え?」

「さっきまで、兎仔がこっちにツラ出してた」

 ガラスの灰皿に煙草を押し付けながら、どうでもいいようにベルは言う。

「ま――感付いて当然だな。そして、確認してだけ帰った。なにしろ潦と円は、似たような家系だったからな」

「待って。……それは、あたしが聞いていいこと? あたしが――思い出して、いいことなの? 義父さんは――」

「知らん……ってのは嘘だが、知ったことじゃないな。言っただろう、俺が面倒なだけだ。とにかくそこだ、思い出せ」

「出せって言われても」

「過去がねえ、なんてのは足場がないのと同じだ。ずっとさっきみたいな感覚を抱いたまま生きてくつもりか?」

「それは――」

 嫌だというか、耐えられそうにない。

「ちなみに、思い出せないだろうから先に言っておくが、イヅナとラルに引き取られる際に一騒動起きてる。ま、小規模なものだったが、原因はお前だ。だから二人が引き取って、一年以上かけてずっと、封印の具合を見てたわけだ。……ご苦労なことだ、まったくな」

「どうして――」

「そうじゃねえ。問うのは、てめえに問え」

「自分に……?」

「わからないことに対して、どうしてと、己に問えよ」

 どうして。

 疑問を解決するために考えることはある。その際、発生源となるのは、いつだって、どうして、という疑問を思い浮かべることだ。しかし、それは結局のところ、思考の方向性を持たせるために、記憶を引出すために、前を向くために必要なことであって、己自身への問いかけではない。

「俺が追いつめてもいいが……それこそ、面倒だな。AI、管理下にあるイヅナ名義のサーバに俺の名義でアクセス。表層のデータログ内部から、末端数値が127番のファイルを引き抜いて結合しろ」

『スティグマ』

「――」

 無機質な言葉に、ぎくりと躰が強張った。

『イプシロン』

「ん、もういい。さて、思い出す覚悟はできたか? できてねえか? ま、俺はどっちでもいいが」

 ごくりと、つみれは喉を鳴らして唾をのみ込んだ。

「ギリシア文字列でスティグマから始まって、イプシロンへ続くパターンの中で、封印系統なら一つしかない。――クシ・ラムザ・スティグマ・ゼータ・ガンマ・ヘータの順序で鍵は開く」

「あ――」

 何かが。

「う、わっ!」

 壁が消えたような、躰が弾けてしまったような感覚と共に、真っ先に感じたのは躰だ。己がここで座っている、という状況そのものが認識できた。残念ながら封印されていた記憶が一気によみがえって混乱する、などということはない――いや残念ではないけれど。

 何故なら、それはあって当たり前のものだったから。

 封じられていただけで、それが解かれただけ。

 あったものに、アクセスできるかできないかの差だ。

 失くしたものが戻ったわけでは――ない。

 けれど。

「――ああああああ!」

「うるせえ」

「いやだって! 今までのあたしを思い返すとめっちゃ恥ずかしいんすけど!」

 言ってみれば、大人になってから子供の頃を思いだすのと似たようなものだ。どれだけ自分が馬鹿なガキだったのかを目の前に突き付けられれば、恥ずかしくて逃げ出したくもなる。

「そうか?」

「そうっスよ! そりゃ頼るのは悪いことじゃないとは思ってるけど、なんていうか頼ってばっかで……わかんないとか、そんなことばっか言って、わかろうとしてなかったっていうか」

「そんなことは知らん。で、思い出せたか?」

「あ――うん、その、まだぼんやりとだけど」

「お前ができることは思い出したか」

「それは……まあ、――そこなんすよね。結局のところ、あたしは、集められた情報の中から、解決策というか、結論というか、核心? みたいなのを、想定するようにできてるんすね」

 それは、一つの機能と言った方が正しいかもしれない。

 だから。

「だから――あたしは、周囲を振り回す」

 今までは無意識に、それをやってきた。

 状況の中に入っていて、自分を中心に置かなくとも、さりげなく思った方向へと全体を促してしまう。

 周囲は気付いてか気付かずにか、その方向を向いてしまう。

「選択肢があれば――あたしが決めたその方向に、仕向けられる」

「よく言えば指揮官、悪く言えば策士の才能だ……が、それはお前が一定の研究の成果として、元の両親に教育された結果だ」

「……そうっスね」

「実験と言ってやった方がよかったか?」

「はは、……そうなんすよね、誤魔化しても事実はかわんない」

 深呼吸をするように、やや俯いたつみれは、膝に視線を向ける。記憶のことはともかくも、混乱しているのは確かだ。

「ごめん、ベルさん、ちょっと、まだ帰れないんで、ここに居座っていいっスか」

「そんなことは気にするな」

「うっス。けど……参ったなあ。新しいアプリが組み込まれた感じ」

「元からあったものだろう」

「そうなんすけどねー」

 ずっと俯いていても仕方ないので顔を上げると、先ほどアタックしていたサーバのセキュリティ構造が空間投影されていた。立体図ではあるし、そんなものは初見だが、手を触れて内部構造がよく見えるように動かせば、すぐに理解できた。

 実存する立体図の中から、今までの記憶に合致するコードを検索して、二元的に数列をはじき出すのではなく、逆に数列そのものを立体図として想像して理解していくのだ。

「AI、円つみれ名義のデータファイルを投影して、操作権を与えてやれ」

「おー、あんがと。……んー、ベルさん、円の家系で、あたしは失敗なの? 成功なの?」

「知らん。結果が今のお前であることに間違いはねえけどな」

「よくこんな馬鹿な真似、本気で実現させようとしたなあ……」

 人体実験をされている頃の記憶に、嫌だと思ったことは一度もない。痛みはなかったし、そうされることが当然と思う余地もなく、そもそもつみれにはその頃、比較する誰かなどいなかったのだから、当たり前の日常であった。

 そうやって、円つみれは身体強化を施された――肉体ではなく、思考能力を。

「基盤となる記憶」

 流れ作業でセキュリティを解体、および新しく適応可能なプログラムを作成しながら、体感したものを言語化することで、つみれは自分のことを確認する。

「これなんて言うんだっけか……ま、基本なのかな。視覚情報を写真みたいに記憶しておいて、記憶の中に順列を立てて収納しておく。それは状況に応じて半自動的、ないし自覚的に引き出して参照が可能……と」

 それは言うなれば、知識の宝庫を時間経過、つまり経験に比例して増やしていくのだが。

「普通、人は忘れることで脳容量の圧迫から回避しているはずなんだけど……経験を、ただの情報に変換する要素なんて、どうやってんだろ」

 自分が経験したことは、それこそ匂いや感覚なども残る。鉄火場の匂い――たとえば回想をした時に、その時の匂いまで思い出してしまうように、実際の情報は多いのだが、しかし、それを第三者的な視点――つまり、それこそ写真に撮った映像のように変換してしまうのだ。

 もちろん、それと並行するように普通の記憶も存在しており、それには経験が伴っているのだが、そちらは一般的にそうであるよう、忘れることもある。簡単に言ってしまえば、つみれの持つ情報の中から、現実感だけが消え去り、映像として残っている、ということなのだが、そこを想像で補完できてしまう辺り、データを扱う感覚そのものにも手が加えられていると考えても間違いではないだろう。

「でも、状況に思考を対応させるのはいいけど、どんくらいの速度なんだろ」

「今はイヅナとラルが仕込んだ体術も含まれるからな――どれ」

「――」

 一秒、それは目の前が真っ白になったように感じたが、それはナイフの切っ先が文字通りの眼前にあることを理解、全身の力を抜いてずり落ちるよう頭の位置を下げながら右足を振り上げてナイフの軌道を修正――するように見せかけ、ベルの逆の手をけん制、躰を回転させることで勢いをつけながら、残った足で床を叩いてソファの後ろまで飛び、空中で姿勢制御をする最中に、いつしか捨てられたナイフの代わりに拳銃がこちらを向いていて。

 ――両手でソファの端を持って放物線の移動を強引に変更して、着地した。

「……二秒遅いな。対応速度としては充分だろうが」

「ベルさんと比較しないで欲しいんすけど……」

 ずるずると、ソファを乗り越えるようにして元の位置に戻ったつみれは、再び作業を開始する。しかし――驚いていたのは、事実だ。

「ほぼ無意識かあ」

「流れは読めなかったな」

「うっス。っていうか、今それを反省しようと思ってたんすけど……」

「へえ」

「どんな思考回路してるんすか、まったく」

「少なくとも、お前より二手先読みするのは簡単だ。そっから先は、それなりに腰を据えてやる必要もある」

「いや、まあ――今にして思えば、よく状況入りしたなと思うくらい、迂闊な行動だってのはわかってるけど、ベルさんを相手にはもう無理だって諦めが出てるから、いいんすけどね。怖いって感覚も、戻ってるみたいだし」

 今までつみれは、慎重に生きてきた。臆病に生活していた。しかし、それは恐怖そのものが封じられていたからだ。

 恐怖がない人間は、足を踏み外しても気づかない。だから臆病になれと徹底されていた。

 では何故、恐怖がなかったのか?

「怖い――と思って身を竦めるだけならまだしも、それを解決したいと願うのが人だから、封じるしかなかったってことかな」

 解決しようと思えば、場合によっては封印が解けるか、解けないにしたって、一切の身動きができなくなってしまうから。

「でもなに、これ。馴染んでいることに驚いたんだけど」

「なにがだ」

「現実の受け入れ。反応が遅かったのは確かだけど、目の前が白くなった時点で、あ、これナイフだって気付いてたんだよね。普通さ、危ないから避けなきゃ、が先じゃないっスか?」

「俺は理解が先だが」

「うん、ベルさんはべつで」

「で? 問題があるのか?」

「問題……あるとすれば、なんていうか、自分も俯瞰しちゃう部分かな。主観が俯瞰に変わっちゃうっていうか、行動が機械化しちゃいそうっていうか」

「システマチックになることの何が悪い。自分が制御できてる証左じゃねえか」

「う……それは、そうなんだけど」

「外見も気配も、そう変わっちゃいねえよ。あとは言葉に出さないようにすりゃいい――それだけで大半の人間は気付かない。もっとも、匂いでわかるやつもいるけどな」

「少尉とミュウはどう――ああ、そっか。少尉のこと調べるとか言ってたっけ。ねえベルさん」

「いいぜ。AI、コンソール投影。アクセス権はいつも通り、イヅナ名義のサーバ経由で」

「あんがと。――へえ、タッチパネル形式とそう変わらないんだ。便利そう」

「そうか? 実際に使うことはほとんどねえけどな」

「そうなんすか?」

「ああ――俺の場合、術式を使えば不必要だからな」

 十五秒、つみれは動きを停止してから口を開いた。

「もしかして、電気系の魔術を使うの?」

「正解だ」

 新しい煙草の先端に紫電が走り、火を点けた。

「魔術の基礎知識くらいはあるようだな」

「うん、推察の材料になるくらいはあるっス。――っていうか、人物目録の中に、重要人物扱いでベルさんの名前もあるんすけど」

「鷺ノ宮事件以降の生まれなら、そりゃあるだろ。俺が認定証を貰ったのがその頃だ」

「じゃあ義父さんはそのあと?」

「いや、先に取らせた。都合が良かったからな。実際、三次試験の戦闘で巻き込んだ」

「うっわ……」

「同情はするな。――当然だ」

「嫌がっただろうなあって思って」

 ぱたぱたとキーを叩くが、音は出ず、触れた部分の色が変わるだけだ。これなら寝転んでもできるな、などと思う。

「この投影システム、うちにもあれば楽なのに……」

「あるぜ?」

「――へ、あるんすか」

「このマンションのネットは基本的にうちのAI経由で外部と繋がってるし、土地を購入して俺が作らせたマンションだからな。当時から構想はしていて、余白は確保してあったから、全面改装の言い訳で設置はしてある。使えると言ったのは初めてだが、イヅナ辺りは気付いてるはずだ」

「管理人じゃないんだ……ん? いや、広義では合ってるのか」

「ちなみに、ほかの連中と違って俺はセーフハウスを用意していない。ここだけだ。外に出る時は適当な宿泊施設を使ってるし、使わなくても問題はない」

「居場所が明確になって問題ないんすか?」

「ねえよ。単純に考えろ、お前は俺の居場所がわかって、なにかしたいと思うか?」

「無理っス」

 したいと思ったところで、それができないのとイコールだ。ベルに手を出すくらいなら、それこそ義父や義母の反感を買うくらいの方が良い。

「――あ」

 グローバルネットの中から、断片的な情報を発見する。それはただの、ピントがぼけた映像だったが、思考がそれを少尉であると結論を出した。ちなみに、少尉が口にした言葉を記録から引っ張りだし、そこを基礎情報としている。

 なるほど、データだけの情報に注目ばかりしていれば、見落としていた。実際に逢うのが一番であるし、当人こそ情報のすべてとはよく言ったものだ。

「面倒なことをしてるな……Rabbit辺りにアクセスするのは難しいが、現役狩人の外部情報端末あたりに侵入して情報を抜けよ。音声だけならエシュロンで事足りる」

「いやそれ犯罪だし……」

「見つからなきゃどうとでもなる」

「あたし狩人じゃないんで。まあこっちは、ぼちぼちやるっスよ。ただ、しばらくは現状の自分を持て余しそうなんすね」

「特に、サミュエルの扱いにか?」

「うーん……それも、どうなんすかね。そもそも、ミュウはなんで、あたしの言うことを聞くんだろうって疑問もあって」

「理由なんて当人に訊け。どうであれ、現状として」

 ベルは言う。

 そんなものは最初からわかっていたかのように。

「お前が暫定的な命令装置であることに、変わりはねえよ」


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