09/15/18:30――朝霧芽衣・フラーンデレン

 その軽食屋の名前は、フラーンデレン。営業時間は十七時から二十二時までとそれなりに短いが、そもそも日本の界隈では二十三時以降の外出を禁じられているため、酒をメインで出す店舗の営業時間は短く、それでも狩人など外出可能な人間を客筋にする店もあるのだが、大きなバックがついていないと、やたら店内が壊されて出費が嵩み、赤字になってしまう。

 そもそも、この界隈では酒場そのものが珍しい。酒を出すのならば、屋台引きでもした方が効率良く、店に入って腰を落ち着けて――しかもこの店のように落ち着いた雰囲気のある店は、敬遠されがちだ。とはいえ、必要な人物もいるわけで、曇りガラスのパーティションに区切られた洋風の店内は、密談などがしやすいようになっている。

 完全予約制度ではないのだが、入店してすぐに朝霧芽衣はバーテンに片手を挙げた。

「エンス、久しいな」

「メイ? やあ、これはまたご無沙汰だな。僕が日本に店を出して、初めての来店じゃないか。といっても、もう三年くらいになるのか?」

「そうだな。お前こそ、よくもまあ私を覚えているものじゃないか」

「そりゃそうさ、この仕事を僕の向きだと言ったのは君だぜ? おっと、連れがいるみたいだ。席はご自由にどうぞ。まだウエイトレスがきてないんだ、注文は僕に」

「そうさせてもらおう」

 カウンターの前を横切り、奥から三番目の仕切りの椅子に腰かける。コの字の状態に椅子があり、中央にはガラスのテーブル。やや高い位置にあるものの、備え付けのクッションが二つあるため、その一つを連れである酒井さかい景子けいこに渡した。

 景子の仕事が終わるまで、鈴ノ宮での射撃大会に参加して暇を潰した芽衣は、すぐに馴染みのブティックに連れて行き、そこの経営主であるかがみ華花はなかという女性に、せめて高校生が背伸びしているように見せる衣服を頼むと言って着替えさせたのだ。

 ボディラインを見せるための、スーツに似た服装に、ネクタイ。髪も整えられており、化粧も軽く施されているので、なるほど、これならば大学生でも通じるかもしれないな、と思うレベルにまで化けていた。

「あのう、朝霧さん、先生はですね」

「何をおどおどしている。問題ない、支払いのことなら冗談だ。私が誘ったのだから、私が出すのは当然だろう?」

「安心しました。なんだか高そうな店ですし……って、そうではなくてですねっ」

「よし、その調子だ、雰囲気に呑まれれば酒が回るのも早い。平常心がいい、特に誰かの奢りの場合は、できるだけ飲んだ方が楽しいからな」

「朝霧さんっ、あのですね、先生はともかくも、朝霧さんは未成年で」

「またこの女は野暮なことを言うんだな……面倒臭い女だと言われたことはないか? ん?」

「うぐっ」

「それとプライベイトだ、先生は止めろ。貴様が黙っていれば何も問題は起こらん、ならば黙っておけ。それが良い女というものだ」

「うう……なんだか言いくるめられてませんか、わたし」

「自覚があるのは良いことだ。それに、大して年齢に違いなどなかろう。ちなみに五歳までは誤差の範疇だ」

「あーもう、いいです、わかりました、それでいいです! もうっ」

「やれやれ、何を怒っているんだこの女は、本当にわからんな。それとも何か、ヌードバーにしろという遠回しな要求か?」

「それだけは嫌ですっ」

「まあいい、では景子」

「呼び捨てですかー……」

「なんだ、好きな男ができた時にとっておきたいと言うのならば、そんな妄想をするくらいなら現実で一歩を踏み出せ、ガッツを見せろと鼓舞してやるが?」

「……も、いいです」

「よし、ならばもう気にするな、存分に楽しめ。それで景子、肉と魚とどちらが好みだ?」

「へ? えーっと、わたしはお肉ですねえ」

「ふむ。好き嫌いはないのか」

「大丈夫ですよー」

「酒は甘口か?」

「そのう、辛いのは苦手です。あっ、飲めないわけじゃないですよ?」

「そうか」

「というか、お品書きとかないんですね、ここ」

「普段ならウエイトレスが運んでくるのだろう、そんなものがなくても、あるものを頼めばいいだけのことだ。店名は見ていなかったのか貴様は」

「え? フラーンデレン、でしたよね」

「知らんのか……まあいい。エンス、とりあえずリーフマンとグーデン・カロルス・アンブリオ、シメイ・ブルーを二本ずつ」

「メイ、ロシュフォール6があるよ」

「ほう、それは珍しいな、一本頼もうか。つまみは肉系統を二種類と、シメイ・グラン・クリュにマレッツを」

「諒解。少少お待ちを」

 昔は荒れているガキどもを相手に商売していたのに、状況に合わせてこれほど物腰が柔らかくできるものかと、そんな処世術ができていることに感慨深くなりつつも、頬杖をついた芽衣は対面に腰を下ろした女を見る。

 場馴れしていない、落ち着かない空気の中、子供のように首を傾げているこの女は、たぶん歳相応の経験をしてはいるものの、それを見せる技術――どう見せるのかを、知らないのだろう。

「ちなみに、フラーンデレンとは、ベルギーのフランデレン地方で行われる、自転車のレースの、ロンド・ファン・フラーンデレンからとった名称だ。石畳の坂などがあって、なかなか過酷なレースだが、知らんのか。フランドルとも言うが」

「自転車の、レースなんですか」

「知らんのか景子、自転車はベルギーの国技だ。まあ地名だと覚えておけ」

「うう、知りませんでした……というか、よく朝霧さんは知ってますねえ」

「私を何だと思っている。これでも狩人だ」

「ひえっ」

「む、知らなかったのか? 大山校長は知っているんだがな。まあ気にするな、だからといって強権を振りかざすようなことはしない。そうか知らなかったか……だろうとは思っていたが」

「え、いや、だって、……知りませんよう」

「泣きそうな顔をするな馬鹿者。だいたい一般学生が酒場に入って、支払いは持つなどと言うはずがないだろう。その服の支払いだとて私が済ませたではないか」

「だって朝霧さんは特殊だと思ってましたからー」

「そうだ、それでいい」

「お待たせしました。――ちなみに、注ぐのは自分でやってくれ。けれど僕のメイの間柄だ、一本くらいはね。なににする?」

「ではリーフマンを」

 小さなビンだ、中身はせいぜい二百五十ミリリットルくらいなもので、グラス一杯くらいなものだ。それを丁寧にグラスへ注ぎ、それぞれの前へ。そして中央には二種類のチーズと、サイコロステーキのようなものを二種類を置いた。

「どうぞ、ごゆっくり」

「ふむ。では景子、お前の外見が中学生を卒業する祝いに」

「ううう……否定したいのに、できない」

 軽くグラスをぶつけあい、芽衣は半分ほど飲んでしまう。そして一口を飲んだ景子は、驚いたように目を丸くした。

「うわ――なんですか、これ」

「いわゆるところの、フルーツビールだ。特徴はこの泡立ちだな。度数も低いから、そう酔いも回らんだろう。ただし、飲み過ぎには気をつけろ」

「はーい」

「まったく安心できん返事だな。よし、今からそこにある紙に、景子の住所を書いておけ。そうすれば酔いつぶれた貴様を運搬する手間が省ける」

「この完全に子供扱い……どうにかなりませんか? いえ、なりませんよね、うう」

「ネガティブなやつめ。それとすまんが、もう一人顔を見せる」

「へ? そうなんですか?」

「酒の席だ、無礼講にしておけ。景子も知っている相手だろうがな」

「うーん、ふつーの学生さんなら来れないですよね。わたしの知り合いかあ、なら大丈夫そうです。オッケーです」

「なんだ、物分りがいいな。どこの女だと責められる覚悟はあったのだが」

「わたし、朝霧さんと、どーゆー付き合いなんでしょうかねえ」

「……難しいことを聞くんだな」

「本気で眉根を寄せて額に手を当てて辛そうに言わないで下さいっ」

「同僚と一緒に飲み屋には入らんのか?」

「そうですねー、今だと飲む人の方が少ないくらいですよ? そして、飲む人は、お店よりも自宅で楽しむんです。一人だと気が楽だって」

「確かに、場の雰囲気に強要されることはないからな」

「でも、こういう美味しいお酒は、こうして飲んで確かめないと、わからないですよねえ」

 そうやって楽しめるのならば誘った甲斐もあるものだ、と思っていると来客があった。仕切りがあるため見えないが、気配でわかった芽衣は何も言わない。ただ、その客は男性で、まずはカウンターに向かう。

「よォ、リック・ネイ・エンス」

「やあ。ローデンバッハの仕入れは済んだよ」

「おゥ、そいつァ帰り際に包んどいてくれ。とりあえずブルゴーニュ・デ・フランドルだ。フラーンデレンに来て、フランドルを飲まずに帰るヤツの気がしれねえな」

「わかったよ」

「四本な」

 言って、彼は。

 ラフな洋服に身を包んだ鷹丘少止(たかおかあゆむ)は、近づいてきてすぐに、犬歯をむき出しにして笑った。見下すような視線は芽衣に向けられた。

「はッ、ガキに似合いそうな酒ばかりかと思ってたが、そいつァそっちのガキだけらしい。どうした嬢ちゃん、迷子なら来るところを間違えてるぜ」

「失礼な! これでもれっきとした成人女性です!」

「口だけなら、いくらでも言えるわなあ――おいてめェ、俺を呼びだしておいて気楽にやってくれるじゃねェか。どういう了見だ、あァ?」

「呼び出しに応じた野郎が、のこのこと何を期待してここへ来た? 替えのパンツの用意は充分か?」

「ガキを相手に遊ぶ趣味はねェって言ってんだよ、クソッタレ。最低限、フランドルは頼めよ、脳が壊死を始めてんなら、促進させてやってもいい」

「貴様はそう言って私たちのぶんまで注文できる。つまり貴様の顔を立ててやった私に随分と言うものだな? むしろ感謝しろと言いたいくらいだ」

「そりゃどうも、大きなお世話だファックジャップ。グーデンドラークでも一気飲みしてろ――おい酒井、奥へ詰めろ。俺の場所がねェだろうが、気の利かねェ女だな」

「へ? あ、はい……あのう、お知り合いでしたっけ」

「おい、リーフマン程度でもう酔ってンのかてめェは。それとも節穴か? 眼科を教えてやっから、まずは視力検査から始めろよ。つーか、おい朝霧、てめェ馬鹿か? 呼び出すなら呼び出すで、付き添う相手を考えろ。ド低能でもちっと考えりゃァ都合が悪いかどうかくれェはわかるだろうが」

「はははは、女を黙らせる方法の一つや二つ、貴様だとて持っているだろう。なあに、節度を弁えた、自称、成人女性だ。言っていいことと悪いことくらいの分別はつくと、私は評価しているが?」

「こういう場で逢った時の弁えを知っていたかどうかわかるのは、結果が出てからだ。呑気も過ぎりゃ腹が立つ、違うか?」

「違いない」

「あのう……喧嘩ですか?」

「む、何を勘違いしている景子。こんなもの、挨拶だろう」

「軍やら組織やらが品行方正だと思ってんなら、考えを改めるんだなチビスケ」

 腰を落ち着けてようやく、届いたビールを開ける。そして少止は、フランドルの名がつくそれを、瓶に直接口をつけて飲んだ。

「ああ、美味いなクソッタレ。エールはこいつに限るぜ。朝霧はトラピストが好みか?」

「酒の話をするために呼んだわけではない。好みを探りたいのならば、もっとうまくやるんだな」

「てめェの好みなんて知るかよ」

「そのう、朝霧さんのお知り合いなんですよね?」

「何を言っている、説明しただろう。景子の知り合いでもあると私は言ったはずだが」

「へ? え、いやだって」

「このサックジャップは鷹丘少止だが?」

「――へ? えっと、ええ!?」

「おい酒井、おい、本気でてめェは節穴の類か? 見りゃわかるだろーが、整形もしてねえぞコラ。てめェだって表向きのツラと身内とじゃァ見せるモンが変わるんじゃねェのか? あァ?」

「それはそうですけどー、えっと、本当に鷹丘くんですか? 三日くらいでいなくなっちゃった、あの鷹丘くん?」

「何度確認すりゃ、てめェは理解するんだ? 一度でわかんねェと殴られて当然だぜチビスケ。――オーケイ、クソガキ。てめェがいつも居酒屋でやってるみてェに、見せてやらァ。きっちり読んどけ」

 テーブルに放り出されたのは狩人認定証ライセンス。アンモライトで薄くコーティングされた一枚のカードで、そこには鷹丘少止の名と、ランクCの文字。そして狩人名の〈足音ステップビート〉が記されているだけの、簡単なものだ。

 ちなみに、カードのコーティングに宝石が使えるのは、ランクB以上であり、誰かと同じものには決してできない。そのため、ランクB以上の狩人は、コーティングそのものが個人を示すものであり、ランクしか記されていない。もちろん、偽装が発覚した時点で殺される方がマシ、という処罰もある。

 ただし、ランクC以下であっても例外として、親狩人が存在し当人に認められた場合のみ、親狩人がランクB以上の場合、同一の宝石コーティングを可能としている。

 つまり。

 鷹丘少止の場合、イヅナと呼ばれる親狩人の好む宝石だ。

「ふえー、すごいですねえ。実物は初めて見ました。この鱗みたいな赤と黄色……ええと、緑でしょーか。これなんていう宝石ですか?」

「知らんのか。加工前のアンモライトだろう。三色の宝飾などは見たことがないか?」

「ああ、あります、あります。あれなんですねー。ありがとうございます鷹丘くん、よくわかりましたー」

「本当にわかってんのかコイツは……」

「雰囲気が変わっても、鷹丘くんが鷹丘くんなら、せんせ……じゃなかった、わたしは大丈夫ですよー」

「どうだ、この物分りの良い女は」

「付き合ってる野郎も旦那もいねェのが不思議なくれェだな」

「うぐっ、けほっ、けほっ」

「酒井のことだから、高望みが過ぎるってわけでもねェと思うんだけどなァ……」

「そうだな。それに、いくら自分に幼女入っているとはいえ、ロリコンの誰もが躰目当てというわけでもあるまい。む、ああ、なるほど。自分で選んで自分からアタックできないのか貴様。究極のヘタレだな」

「男に捕まることはあっても、男を掴まえられねェってか」

「けほ――咳き込んで返答できない状態で、話しを進めないで下さいっ」

「いいか景子、まだ大丈夫だと思っている内が華だ。行動しないと、行き遅れと呼ばれる羽目になるから気をつけろ」

「大きなお世話ですっ。まったくもう……あ、でも、鷹丘くんは、元気そうで良かったです。ちょっと心配してたんですよー」

「こっちにも事情があってな、校長にゃ口止めもしといたんだが、あんまおおっぴらに言えねェんだよ。悪かったな。安心しとけよ酒井、ちゃんと学園の方にゃ席を持ってるぜ」

「そうなんですかー。うん、あれですね、ちょこっと用事ができて顔を見せたってことなんですね。わかりましたー」

「おい、コイツ頭大丈夫か?」

「本人が大丈夫だと思っているんだ、そっとしておけ……」

「え? あれえ?」

「さて、そちらの動きはどうだ?」

「俺自身の問題なら、まだいくつかある。処理も完全に終わった――つーか、残党狩りの始末もつけたし、そっちはもういい」

「ふむ。イヅナを探しているような気配もあったが?」

「そいつも、ついでってやつだ。俺がいくら探したって、野郎を見つけ出せるとは思っちゃいねェさ。ただまァ、アイツが表に出る機会が増えたせいで、俺が付き添うことが多くなっちまったのは、事実だろうぜ。安全マージンは確保してっけどなァ」

「アレに手出しする馬鹿はいまい」

「だから、俺も適当にしてるさ」

「しかし、イヅナの動きを知らんのか……」

「なんだてめェ、そっち系の話か?」

「いやなに、若い連中はともかくも、上の連中がどうしているかはさっぱりわからんからな。少し気になっただけだ」

「若い連中と言えば、ガキどもを育ててるってなァ」

「育ててはいない。ただ、場を提供してやってるだけだ。ガキもガキなりに、筋が良い連中もいる」

「おゥ、ガキって言やあ、てめェと遊んでる連中、文化祭辺りで騒ぐってな」

「んぐ――げほっ、げほっ」

「おい酒井、何度も咽ると癖になるぜ。アルコールを回してェんなら、度数の高い酒を飲めよ。そんな小技使ってんじゃねェ」

「ちが、けほっ、――違いますよっ」

「なんだ、そんなくだらん情報まで入っているのか」

「てめェはともかくも、山のは動きが下手だってことくれェは知っとけ。野郎がどう思ってんのかは知らねェが、意識しなくたって筒抜けだ」

「ちょ、ちょっと、なにやら不穏な会話ですよ? 朝霧さん! なにをしようとしているんですか!」

「ふむ? それはつまり、文化祭だが?」

「そーじゃなくてですねー」

「何を言ってるんだコイツは。なんだてめェ、野雨西の情報処理学科が暴れ出した起因の頃、てめェは学生で一緒に盛り上がってただろーが。教師になったら反対ってか?」

「あの頃とは規模が違いますっ」

「どっちの規模だ?」

「被害規模は確実に上がっているだろう。何しろ、楽しむ側ではなく責任を取る側になったのだからな」

「だからって昔のてめェを否定するようじゃ話にならねェ」

「だがアフターフォローの錬度も随分と上がっている」

「だったらいいじゃねェか、なあ酒井」

「よくないですよう……」

「朝霧が絡んでるんなら、そう心配するこたァねェよ。……クッ」

「なんですかその笑いはっ」

「あー、うるせえ、うるせえ。飲め、とりあえず飲め」

「うう、飲みます。飲みますよー」

「一口乗るか?」

「んぐっ、――ちょっ、朝霧さん!」

「いいから貴様は飲んでおけ」

「必要なモンでもあるのか?」

「足がなくてな。軽バンでも構わん、運搬に適した車を一台貸せ」

「そこらでレンタルすりゃいいだろうが」

「古着の軍服を山積みにして、か? 冗談だろう、私に職務質問を受けろと?」

「いいぜ、連絡を寄越せ。そのくれェの恩なら売ってやらァ」

「あのう……」

「貴様は黙って飲め。安心しろ、きちんと書類にして提出してある。近い内に読むこともあるだろう、その時に知って泣け」

「わたし、今泣きたいです……」

「追加注文は好きにしていいぞ。何ならこの後、食事メインで連れてってやってもいい」

「やったー」

 呑気なものだと、少止は瞼を落として呆れたように吐息を落とす。

 まったく。

「救われる話だ」

「ああ、まったくもって同感だ」

 こんな一般人がまだいるのならば、それを身近に感じることができるのならば。

 ――いくら己が特殊であっても。

 それでも生活を誤魔化して、普通の人と付き合えるのだと、そんなことを思えるのだから。


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