10/17/21:10――マーデ・零の柱

 零の肉体が赤色に包まれた直後、ジニーとハインドは退いた。

「なんだ――」

 ああ始めようかと、誰にも聞こえないように呟いたマーデは零の傍に近寄る。

 野雨市を中心にして世界に干渉する。ああ、そんなに面白いことが行われるならば、是非とも成功して経験にしたいものだ。

 野雨市にある軌跡と。

 同一の縮図としての軌跡。

 二つを組み合わせた張本人は今、陣の中心にて成果を得る。

 けれどきっと、評価は――誰も受け取れないだろうが。

「マーデ、何が起きているのですか!」

 答えるつもりはないし、説明する気にもならない。まあ後でそれとなく教えておいてやろうか。

 とりあえず今は、だ。

「さあ」

 零の前に立って、彼女は届かない言葉を蓮華へ向けて放つ。

「やってやろうじゃないか」


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る