第27話 本山家がアホで何が悪い!



「高明~、ティッシュ取ってくれ~」

「あいよ~」


 こんにちは! 高明です! 今回は俺の家での日常を紹介したいと思います! 俺、誰に言ってんだろ……


「サンキュー」


 ちなみに、今ティッシュをご所望したのが俺の父親、本山(もとやま)章(あきら)だ。現在54歳。特徴としては、頭がハゲている。そして、最大の特徴が。


「高明ー、お前のエロゲやらせてくれ」

「俺、まだ攻略中だからダメ」

「なんだよ。早く終わらせてオレにもやらせてくれよ」


 これが最大の特徴。息子の前で平然とエロゲやらせてくれだのとか下ネタを言ってくる。まあ、面白いからいいんだけどね。


「てか、もう自分でエロゲ買ってくれよ」

「やだよ。何買えばいいかわかんねえし」


 まったく、この父親は。なんで息子のエロゲやろうとするかな。


「息子の前でエロゲやらせろとか言わないでよ。恥ずかしい」


 今発言したのが弟の本山裕也。現在中学2年生。これは過去編2で説明したな。……過去編2ってなんだ……


「いいじゃねーか。そうケチケチすんなよ。裕也だってやりたいだろ?」

「べ、別にやりたくなし!」

「親父、思春期の息子にそれはあかんよ」


 とまあ、こんな感じで本山家は3人家族でみんなアホばっかだ。母親? そんなもん俺が高2のときに出て行っちまったよ。


「高明は別になんとも思わないだろ?」

「まあ、俺はもう慣れたからな」

「僕は慣れないよ……」


 裕也は毎回俺と親父のツッコみを担当してくれる。いつものメンツの中で言うと、瑠のポジションだな。


「で、高明。お前は早くエロゲを終わらせろ。後がいるんだから」

「ホント、エロ親父だな。まあ、いいけどさ」

「よくはないでしょ!」


 裕也は瑠よりボケを拾ってくれるからいいな。




 ここで、子どもがヤンキーになる定理をみなさんに教えよう。基本的に、子どもがヤンキーになるのは、家庭環境に不満があるか、友達にヤンキーがいて、それに飲み込まれるかの2択だ。ちなみに俺は両方。


 俺は、母親が家を出て行ってしまう前から、親同士、少し仲が悪かった。そこから、俺も徐々にイラついていき、反抗するようになっていった。その時にたーちゃんに会ってしまい、世間一般で言うヤンキーになってしまったのだ。


「お兄ちゃーん、ごはん!」

「あいよー。今いくー」


 とまあ、ヤンキーにもいろいろ複雑な事情があるんです。皆さん。ご了承願います。まあ、俺やたーちゃん、瑠はヤンキーってかアホなだけだけどな。





「高明。お前、そろそろ進路決めなきゃいけないだろ?」

「なんだよ。藪からち○こに」

「お兄ちゃん! 食事中! あと、棒だから!」


 さすが、裕也。見事なツッコみだ。そんなことはどうでもいい。俺たちがメシを食っている時に、親父が急に俺の進路のことを話し始めた。


「いいから。なんか考えがあるのか?」

「……今は特に。ただ、働きたくはないな」

「じゃあ、進学か?」

「でも、普通の大学なんて行っても、高校の時みたいに辞めそうじゃん」


 これは俺の本心だ。ゆらと別れてから働く気がまったく起きない。だから、今はまだ就職なんてしたくない。かと言って、大学に進んでも、また高校みたいに勉強についていけず、辞める可能性がデカイ。なら、行かない方がマシだ。


「だったらどうするんだ? そろそろ決めないとまずいぞ?」

「ああ。それは俺もわかってる。今度、学校で進路ガイダンスがあるからそこで決めるわ」

「わかった。じゃあ、メシ食い終ったらエロゲな」

「もちろん」

「ねえ。なんで今のマジメな話から、エロゲの話になるの?」


 裕也よ。男には話さなければならないエロい話があるのだよ。




「いや! そこはま○こ舐めてんじゃねえよ!」


 俺は、現在エロゲを攻略中なのだが、このエロゲ。中々のクソゲー。セッ○スするまでが長すぎる。頭おかしい。


「高明。そのエロゲどうだ?」

「んー、ゴミ」

「いや、兄と親父でエロい話してるのを聞く僕の身にもなってよ」

「「いやだ」」

「即答!?」


 今は裕也に構っている暇はない。これは忌々しき問題なのだよ!


「親父。このエロゲはあまりおススメしない。それでもやるか?」

「オレは……やる! 男として……やらなければいけない!」

「よく言った! 親父! とんだスケベ親父だ!」

「当然だ! スケベ息子よ!」


 やはり、俺はこの人の息子なんだな。血は争えないってか。


「バカ親子……」

「そう言って、裕也もホントはやりたいんだろ?」

「やりたくないし! もう部屋に戻る!」


 そう言い、裕也は部屋に戻ってしまった。


「親父。あんま裕也をからかってやるなよ。反抗期なんだから」

「まあ、しょうがないか。いつか裕也ともエロい話ができるかや……」

「きっとできるさ。なんせ俺たちは家族なんだからさ」

「そうだよな! で、高明。エロゲは?」

「もう終わった」

「よし! 変われ! ここからは大人の時間だからお前も部屋に戻れ」


 はいー。出ました。親父は俺がエロゲをやり終わる時間。もしくは、23時になると大人の時間だと言って俺らは自分の部屋に行かせるのだ。まったく。どんだけ1人で楽しみたいんだよ。


「まあ、いいや。後はご自由にどうぞ」

「おう! またわかんないことがあったら聞くわ」

「エロゲでわかんないことが出てくるかよ」

「あるぞ。オレは」


 は? このエロ親父アホなの?


「なにがわかんなくなるんだよ。エロゲなんてマウスポチポチしてりゃいいだけだろ」

「ふっ。甘いな高明」

「な、なに? なんかエロゲに隠されたことでもあると言うのか!」

「ああ! オレは!」


 いったい何があると言うんだ! エロゲのプレイで何があるんだ!


「選択肢で毎回1つのルートしか入らん。他のルート分岐がわからん」

「あんたはバカか」


 これが俺の家族たち。親父はバカで弟はツッコみ役。俺は両方やる。これが本山家だ。バカでアホだけど俺は案外この家族が好きだ。


「てか、高明は今んとこいらんから、はよ部屋行け」

「こんのクソ親父は……」


 俺は案外この家族が好きなのかもしれないにしよう。



※良い子のみんなは親とこんな話はしないようにしましょう

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