第11話 マンション出禁になって何が悪い!



「そういや、我ら最近出禁になってないな」

「確かにそうだね。つい数か月前は出禁になりまくってたもんね」


 たーちゃんと瑠の会話を聞き、俺も確かに。と思った。いや、普通は出禁になることなんてないんだろうけど。俺らはそれが普通だからな。


「良いことなんじゃねえの? 出禁なんかにならない方がいいんだからさ」

「まあ、すっしーの言う通りなんだけどさー。なんか面白くなくね?」

「まず、出禁なんか何も面白くないよ」


 瑠の言う通り。出禁になると色々不便だからな。某牛丼屋も出禁だし、某ディスカウントストアとかもだし。


「いやー、出禁にならなきゃ我らっぽくないではないか」

「なんで、出禁=俺らになるんだよ。お前の頭はどうなってるんだ」

「90%セッ○スのことしか考えていないが?」

「なんで、そんな堂々と言えるの……」

「まあ、それは俺も近い割合で同じことを考えているが」

「高明もなの!?」


 いやー、男なんてみんなそんなもんでしょ。違う? じゃあ、ソイツは男じゃねえ。


「瑠もそうだろ?」

「もうちょっと他の事も考えてるよ! ……確かにちょっとは考えるけど」


 やっぱ、瑠も男だったか。いや、違う! 瑠は男の娘だ! 異論反論は認めん!


「そんなことよりさ、普通によく使うとこ出禁になることは痛いから、我らが使わないような場所を出禁になろう」

「たーちゃんの出禁に対する執着はなんなんだ……」


 はあ、結局またアホなことが始まるのか。まあ、いつもの事だからいいけどさ。




「で、どこを出禁になる?」

「ボクの家の近くの公園とかは?」

「公園ってどうやったら出禁になるんだ?」


 まず、出禁って意図してやるものなのかって話だよな。普通。


「人がいないと出禁にはなれんだろう。ほら、店員とか」

「たーちゃんにしては的確なとこを付いてきたな」

「ホント。白田にしてはね」

「お前ら、我の事なんだと思ってるの?」


 いや、下ネタ大好きなクソニートとしか思ってないよね。たぶん、いや確実に瑠もだろうけど。


「あっ、高明の家の前のマンションとかどう? あそこだったらボク達誰も使わないし、人もいるよ」

「「あー、ありだな」」


 さすがは瑠。そんなとこに痺れる! 憧れるぅ!


「じゃあ、場所も決まったことだし、早速出禁になりに行きますか!」

「よかろう!」

「うん!」


 自分で言っといてなんだけど、出禁になりに行くってなんだ。




「出禁って、我意図してなったことないからどうやってやるんや?」

「騒げばいいんじゃね? 俺はよくわからんけど」

「そしたら、高明の親出てきそうじゃん」

「その時はその時でしょ」

「じゃあ、とりあえず騒ぎますか!」


 さーて、マンション出禁になりますかなー。






「おぉぉぉぉまぁぁぁぁ○こぉぉぉぉ!!」






「「ちょっと待てぇぇぇぇ!!」」


「なんだよ、すっしー、田中」

「なんで騒ぐって言ってるのに下ネタ言ってんだよ!」


 こいつ、出禁になるだけじゃなくて、めいぼうもしたいのかよ!


「いや、騒ぐ=めいぼうじゃないの? 我、てっきりそう思っていたのだが」

「いや! なんか違うだろ! いや、そうなのか?」.

「高明はちょっと不安にならないでよ!」


 いやー、そう言われましても。だって俺らいつもでかい声で下ネタ言ってるから、それでいいんじゃないかって思ってしまう俺がいる。……たーちゃんに毒されてるな。


「まあ、とりあえず形はどうあれ、我らがここを出禁になればいい話だ」

「まあ、出禁になりに来てるからな」

「……もうツッコむの疲れた」


 瑠がツッコむやめたら収集つかなくなっちまうな。瑠がツッコむ……エロい////

「むしろ、瑠にツッコみたいな」

「高明はホントに黙ってくれ」


 酷い。


「おち○こー! おま○こー!」

「元気だな。たーちゃんは」


 さっさと終わらせて帰ろう。アニメも見たいし。


「勃起したおち○ぽー!」

「高明まで言っちゃうんだね!?」

「男は時にやりたくないことも、やらねばならない時があるのだよ」

「それは確実に今じゃないよね!?」


 鋭いツッコみありがとう。


「女のち○こはまー○こ!」

「レベル高いな。たーちゃんの下ネタは」

「下ネタって時点で、レベル低いよ……」


 ごもっともです。ここにいると瑠がいると、瑠が真人間に見えてくるな。


「もう、いいや。ボクも早く帰りたいし、さっさと終わらせよ。潮○き! ク○ニ!」


 瑠もついに壊れたか。てか、俺らがあまり言わないような下ネタ言ってきたな。おい。だけど、瑠が下ネタ言ってもかわいいから許す! たーちゃんが言ってると単純に純粋に汚いからな。


「フェ○チオ! イマ○チオ! バ○ブ!」


 やべえ、瑠が下ネタ言い始めたせいでホントに歯止めが利かなくなった。どうすんだよこれ。まあ、いっか。


「「おち○ぽ! おま○こ!」」

「そろそろ、瑠もたーちゃんもやめません?」


 よくよく考えてみれば、出禁になる時ってポリ来んじゃん。やだよ。アニメ見たいんだから職質されんの。


「まだだ! まだ我らは出禁になっていない! なるまでやるんだ!

「そうだよ! 男は1度決めたことは最後までやらなきゃいけないんだよ!」

「いやいや、お前ら相当頭おかしいこと言ってるからね? そろそろ気づいて?」

「「そんなのは知らん(知らないよ)!」」

「はあ、もういいや」


 たーちゃんはまだわかるが、瑠がここまでぶっ壊れるとは思わなかった。こりゃもう諦めるしかないな。




「「はあ……はあ……」」

「もう、やめて帰んね?」

「いや、まだまだ。我は出禁になるんだ」


 こいつはホントになんなんだ……


「じゃあ、俺だけ帰ってもいい?」

「えっ、だったらボクも帰る」

「ダメに決まってるだろ。出禁になるんだったらみんな一緒だ」


 いや、すごいどうでもいいんですけど。


「ねえ、なんかあそこに赤ラン見えない?」


 瑠に言われて、指を指された方向を見てみると、確かに赤ランが見えこちらの方へ向かってくるのがわかった。


「なんか、ここまでポリが来るのが嬉しく思ったことはないな」

「ボクも」

「我もだ」

「「「やっと帰れる」」」


 案の定、ポリは俺たちのところへ来て、俺らをこのマンションを出禁にした。


「やっと帰れるな」

「ん? なに言ってるんだい? これから少し、署の方で話聞くからまだ帰れないよ」


……


「もういやだ……」


 瑠、俺もそう思うよ。2度こんなことやりたくない。



※良い子のみんなはマネしないように

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