第9話 めいぼうして何が悪い!



「めいぼうしたくね?」


 またたーちゃんは変なことを言い始めやがった。


 めいぼう。迷惑防止条例の略。俺らがよくポリに補導されるときや、注意されるときに使われるワードだ。俺らはよく、その条例に違反する行為をしている。


「そんなこといつもしてるじゃん。急にどうしたの?」

「いや、最近めいぼうって言うめいぼうしてないじゃん? 我は悲しい! 我の生きがいをやってないに等しいのだ!」

「たーちゃんってなんでそんなに頭弱いの?」


 めいぼうなんて物は、俺らからすればただの下ネタと同じだ。そんなことはいつもやっているので、今更そんなことを改めてやろうなんてことは思わない。うん、俺ら何やってんだろうな。


「じゃあ、めいぼうとは言わん! 我は下ネタが言いたい!」

「はっきり言いやがった……」

「ボクたちいつも言ってるのにね」


 瑠の顔でいつも下ネタ言ってるなんて口にされると、なんか興奮する////


「高明、鼻息荒くてキモいよ」

「やっぱ、俺への当たり強くない?」


 目から汗でそう。


「ねえ? 我の話聞いてる?」


「あー、下ネタ言いたいんだよね? 言ってくれば?」

「おっ、瑠がたーちゃんに塩対応した!」

「なんで、すっしーそんな嬉しそうなの……。じゃなくて! 下ネタ言いに行こうぜ!」

「どこにだよ。しかも、今何時だと思ってるんだよ」


 そう、ただいま深夜3時。正直眠いぜよ。


「まだ3時じゃん」

「ねえ? お前の頭どうなってるの? おかしすぎやしません?」

「ボクも高明と同じ意見だね。白田の頭の中1回覗いてみたいな」

「田中だったら1回セッ◯スさせてくれたらいいよ」

「ぶち殺しますよ?」


 たーちゃん……ついにおかしくなったか。いや、元からだった。




「確かに、すっしーの言う通り時間が遅くて人がいないので」


 おっ! 帰るか! 帰るのか! むしろ帰らせろ!


「もう少し待って、朝のタイミングで登校中の小中高生に下ネタ言って行こう!」

「「ファッ◯ク!!」」

「なんで今のタイミングで帰るってならないんだよ!」

「そうだよ! 白田おかしいよ!」

「なんで我、そんなに責められなあかんの?」


 そこまでしてこいつは下ネタ言いたいのかよ。どんだけ下ネタにかけてんだよ。


「とりあえず、朝まで時間潰そうや」

「もう、何も言い返す気になれんわ……」

「ボクももう、諦めたよ……」


 こいつと関わるとホント疲れるな。はあ、オ◯ニーしたい。




「さあ! 朝になったぞ! すっしー! 田中!」

「なんで、そんなに元気なんだよ……」

「ボク、もう限界が近いよ……」


 瑠が眠い目を擦っている。や、ヤバイ。かわゆい。朝なのにち◯ぽ勃ちそう。あっ、朝勃ちしてるから、もう勃ってたわ。


「俺の息子はいつでも元気だなー」

「高明もおかしくなったの?」


 そんな冷たい目で俺を見ないで! ゾクゾクしちゃう! 嘘です。すいません。


「さあ、小中高生に下ネタを言いに行こう!」

「お前のその元気はどこからくるんだよ」

「ホント、ボクにも分けて欲しいよ」

「とりあえず、通学路に移動しましょ!」

「「あいよ」」


 俺らは、自分の乗り物に乗り込み、通学路へ向かった。眠いよー。帰りたいよー。オ◯ニーしたいよー。




「さーて! めいぼうするぞー!」

「活き活きしてるね。白田。ここ最近で一番活き活きしてるよ」

「それな。どんだけ下ネタ大好きなんだよ。果てしねえなー」


 俺たちは、車とバイクをテキトーなところに止め、通学路で待機していた。


「おっ! 学生発見! ち◯こー! ま◯こー!」


 早速飛ばすなー。俺はもう眠気の限界が近いから何も言わないけど。


「ち◯こ、ま◯こ、ち◯こ、ま◯こ、ち◯こ、ま◯こ」


 こいつ、言い過ぎとちゃいます? どんだけ溜まってたんだよ。


「なあ、瑠」

「どうしたの?」

「これ、通報されたら終わりじゃね?」

「まあ、そうだろうね。でも、言ってるの白田だけだからボクたちは関係ないよ」


 さすがは瑠。白田に全責任を押し付ける気満々だ。満々ってひらがなにするとエロいよね。まんまんだよ。まんまん。


「クリ◯リス、フェ◯チオ、おま◯ま◯」

「マシンガンのように出てくるな」

「下ネタのボキャブラリーだけは多いよね。白田って」


 てか、気づいてみたらスゲー見られてるじゃん。こりゃいつ通報されてもおかしくないな。


「セッ◯ス! セッ◯ス! セッ◯ス! ち◯こ! ま◯こ!」


 てか、さっき瑠が下ネタのボキャブラリー多いって言ったけどそんなことないわ。同じこと連呼してるだけだわ。


「はあー。言った言った」

「スッキリしたか? たーちゃん」

「ああ。久々に思いっきり下ネタ言えたわ」

「ずーっと言ってたよね。よく飽きないね」

「下ネタこそ我の生きがいだ!」


 その生きがいは今すぐに変えたほうがいいな。ちなみに俺の生きがいはアニメとラノベだ! 聞いてない? うるせえな。黙って聞いとけよ。


「さて、スッキリしたことだし帰るか。次はオ◯ニーでスッキリしたい」

「あーはいはい。もうわかったから」

「もう白田の下ネタでボクはお腹一杯だよ」


 やっと帰ることができるわ。オ◯ニーしようかなー。どうしよーかなー。


「それじゃ、パイ◯—ン」

「「パイ◯—ン」」

「ちょっと君たち」

「「「え?」」」


 帰ろうとした時、いきなり声をかけられ後ろを振り向いてみると、そこにいたのは毎度おなじみ、ポリスメン! 嘘でしょ……。


「登校中の学生に下ネタ言ってたのって君たち?」

「「こいつだけです」」

「ちょ!? すっしー!? 田中!?」

「じゃあ、君。ちょっと一緒に来てもらおうか」

「え? え? 待って! ちょっと待ってー!!」


 そうして、たーちゃんはもってかれたのでした。めでたしめでたし。……自業自得だな。



※良い子のみんなはマネしないように

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