第7話 スーパーでAV流して何が悪い!
『ああんっ! い、イッくううう―!!』
「なんでだ……」
どうも、こんにちは。毎度お馴染み高明です。今俺は、久しぶりに働いてきたのです。はぁー、マジでキツかった。もう2度と働きたくない。疲れ切っている俺は、車で自宅に帰るところです。早く帰って、アリスたんで癒されたい。
テレレレレ♪
はい。ケータイなりました。しかも、この着信音は家に帰れないことが確定することを告げるものだ。クッソ。
「はいはい。ま○こ?」
「ま○こー? すっしー、今暇っしょ?」
案の定、たーちゃんでした。
「今、働いてきて帰ってるとこなんだけど」
「いや、そんなのはいいから、すぐにいつものとこに来てよ! 面白いことしてるから!」
「は? 何してんの?」
「それは来てからのお楽しみ。田中もおるで」
「よし。すぐに向かう」
瑠がいるなら話は別だ。疲れた体に必要なものは、8割のアリスたんに2割の瑠だ!!
「んじゃ、まっとるなー。パーイ○ン」
たーちゃんとの通話が終わり、俺はマイエンジェルの待つ、俺らの集合場所のスーパーへと向かうのだった。……やっぱ、帰ってアニメ見てぇ。
はい。渋滞にハマりました。すぐに行くとか言って、いけませーん。鬼ダリい。
プルルルル。
ケータイからたーちゃんの電話番号を選択し、電話をかけた。
「ま○こー?」
「たーちゃん? 渋滞にハマったから、少し時間かかるわ」
「マジかよー。まあ、しゃーねぇ。待ってるわ」
「もし、帰りたくなったら帰っていいから」
むしろ、俺が帰りたい。
「大丈夫。すっしーがくるまでしっかり待ってるから」
変なところで律儀なやつだよ。お前は。
たーちゃんとの通話を終了し、俺はのんびりとこの渋滞を抜けるのを待った。帰りてぇ。
「やっと、着いた―!」
あれから渋滞をを抜けて、20分かけてスーパーまでたどり着いた。本来なら10分もしないのに。あー、バカみたいに思えてきた。
「って、あれ? 瑠だけ?」
俺は、車を降りて店内に入ると、そこには日本空軍の恰好をした瑠だけがいた。その服どこで買ってんだよ。マジで。……まあ、可愛いからいいけどね!
「お疲れ様。高明」
「いつも俺に癒しをくれてありがとう。結婚してくれ」
「ごめん。死んで」
鬱だ。死のう。
「そんなことより、たーちゃんは?」
「ボクにここで待ってろ。って言って、どっかに行ったよ?」
「はー? なんだよそれー。俺、帰っていいかや?」
「まあ、もう少し待ってみようよ。ここが閉店したらボクも帰るしさ」
瑠がそういうのなら仕方ない。待ってやろう。瑠に感謝するんだな! たーちゃん!
「帰ってこなくね?」
「そうだね……どこ行っちゃったんだろう?」
あれから、30分ほど待っているが一向にたーちゃんが帰ってこない。てか、瑠くん小首傾げないで。可愛いから。俺の俺が元気になっちゃうから。テントはっちゃうから。
「もう、帰ってもいいかや?」
「駄目だよ? 待ってないと」
「よし。待とう。いつまでも待とう」
マイエンジェルが待つというのなら、いつまでも待ちましょう。それが俺の使命。英語で言うなら……わっかんねぇや。
「ミッションだよ。高明」
「あれ? なんで俺の考えてることわかるのん?」
「いや、声に出てたよ?」
「マジか」
自嘲しないと、マジであっち系だと思われちまう。
「ちー○こ! まー○こ! ちー○こ! まー○こ!」
あー、どっかで聞いたことのある頭の弱い声が聞こえてきたなー。
「おっ! すっしー! 来てたのか!」
「来てたのか! じゃねーよ! どこ行ってたんだよ! 瑠がいなかったら帰ってたぞ!」
「すま○こ、すま○こ」
「ったっく。何やってたんだよ」
「まあ、外に出てみればわかる。とりま、一服行かね?」
「「りょ」」
俺たちは、外にある喫煙所に向かい、一服を始めようとしたとき、何かがおかしかった。
「なんかヤンキー居ねえ?」
外に出ると、爆音で音楽らしきものを鳴らしている車がどこかにいる。どこに居るかはわからんけど。
「確かに聞こえるね。誰なんだろう?」
「どうせ、ち○ぽみたいなやつだろ」
「なんでたーちゃんは、そんなにさらっと下ネタ言えんの?」
それにしてもうるさい。いつまで爆音で音楽鳴らしてんだよ。一発ケンカ売ってこようかや?
「ちょっと、うるさいから鳴らしてるやつシメてくるわ」
「あっ、ボクも面白そうだから行く!」
「じゃあ、我は待っとるわ」
あれ? たーちゃんがついて来ないなんて珍しいな。まあ、いいや。さっさとシメてこよう。
「ねえ、高明」
「なんだ? 瑠。俺と子ども作る気になったか?」
「違うよ! 死ね!」
「冗談だって。で、どうしたんだ?」
「なんか、今聞こえてる音、音楽じゃなくない?」
そう瑠に言われて、耳を澄まして聞いてみると確かに少し違った。これは……喘ぎ声?
「ちょっと待て。そーいや、たーちゃんが外に出れば面白いことがわかるって言ってたよな?」
「うん。ボクもそう聞いたよ」
「もしかして、これって」
俺は、わかってしまった。この音の正体を。俺は、たーちゃんの車を見つけ、そこに駆け寄ってみると案の定、そういうことだった。
『そこーッ!! 気持ちいいのーッ!!』
「あの野郎。車の中でAV流してやがった」
「はあ、白田がやりそうなことだよね」
そう、俺らが爆音で音楽を流していると思っていたものの正体は、たーちゃんが車で流していたAVでした。
「このままじゃ、いつポリが来てもおかしくないぞ」
「えー、また職質受けるのやだよー」
「たぶん、結構時間経ってるから、もう通報されていてもおかしくないぞ」
俺と瑠がそんな話をしていると、遠くから見覚えのある赤ランが光っていた。あー、これは終わったな。
「寿司屋! 田中! この車誰のだ!」
「「たーちゃん(白田)のです(だよ)」」
ミニパトから出てきた警官に車の所持者を聞かれた俺と瑠は、すぐさまたーちゃんの名前を口にした。だって、職質めんどいから受けたくないもん。
「白田! お前またやってくれたな!!」
「うぇー!? なんでポリいんの!?」
そうして、たーちゃんはミニパトに連行されていきました。はあ……ホントに何やってんだか。
※良い子のみんなはマネしないように
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