第5話 チェイサー改造して何が悪い!
「あと、1センチ……」
俺は今、俺史上もっとも大切な作業をしていた。
「あと少し……!」
「キマシタワー!」
俺は今、愛車のチェイサーの改造に夢中になっていた。最近、オタ活動ばかりしていたせいで、車の改造を全然していなかったため、今日のこの時をずっと待っていた。
「とりあえず、大体のところはいじったな。車高も下げたし、エアロも新しいのに替えたし、エアサスの取り付けも終わったしなー」
「ウーハーの整備も終わったしー……」
「あとは、ライト周りだな」
次にいじる所を決め、ふと、時計を見てみると時計の針が、12を指していた。
「もう昼か。そろそろメシ食うかな」
今日は、朝から車をいじっていて、それに夢中になっていて時間を気にしていなかった。それほどまでに、熱中していた。
「すっしー! 遊びに来たぞー」
「え? なんで来たの?」
「酷くない!?」
メシを食おうとしていたところ、呼んでもいないのに、たーちゃんが家に来た。
「いや、今日は遊ばないぞ? 車いじってるから」
「えー、そんなち○こみたいなことしないで、遊ぼーよー」
「うるせぇ! 今日はずっと車をいじるって決めたんだよ!」
俺の至福の時間を奪うやつは、絶対に許さない。今日は絶対に他の事はしないんだ!
「じゃあ、いじるの手伝うよー」
「……変なことするなよ」
「少しは信用して!?」
「わかったわかった」
「じゃあ、とりあえずライト買いに行くぞ」
「何色にすんの?」
「……」
「決めてないのかよ」
「いや、メシ食ってから変えようって思ってたから決めてなかったんだよ」
「じゃあ、早くメシ食ってこいよ」
「お前が来たから食えなかったんだよ!」
さてさて、俺もメシを食い終わったところで車のところに戻り、俺のご自慢のチェイサーで車屋に向かうしますか。
「さて、車屋に来ましたー」
「すっしー、何言ってんの?」
「わっかんね」
俺とたーちゃんは、行きつけの車屋に来ていた。
「どんな色にすんの?」
「青白い感じの色をヘッドライトにするのは決めてるんだけど、フォグランプを何色にするかはまだ、決めてないんだよ」
そう、今までもずっとフォグランプの色を決めるのだけは時間をかけていた。
「ピンクとかはどう?」
「それは、ルームランプと被るからダメ」
「ルームランプ、ピンクなんだ!?」
ちょっと、ネタ要素もやっぱりほしいじゃん? いらない? うるせぇ、ほしいんだよ。
「やっぱ、無難に黄色かやー」
「それは、つまんなくね? それはマジま○こ」
「いや、意味わからんわ」
たーちゃんは相変わらず、下ネタしか言わないな。バカだもんな。
「じゃあ、ピンクと黄色以外でなにがあるんだよ」
「んー……」
「やっぱ、無難な色かや」
「あっ!」
たーちゃんはなにか思いついたようだ。
「なんかいい色思いついた?」
「紫なんかどう?」
「……ありだな」
「だろ!」
紫のフォグランプ。なんか卑猥な感じがしていい。
「とりあえず、探しに行くか」
「おうよ」
はい。見つかりましたー。卑猥な卑猥な色がありましたー。
「さて、モノも買ったし、取り付けしますか!」
「我も手伝うわ!」
「……変な事するなよ?」
「いい加減信用して!?」
いや、白田君。今までの行いを、自分で見直してね?
「とりあえず、ライトのカバー外しますか」
「そうだな」
俺たちは、順調にライトの交換をしていた。今回のライトは、今までのハロゲンライトではなく、HIDのライトを買ったせいで、途中、HIDのキッドを組んでいるときにバラストの配線組に手こずったが、何とか組むことができた。そして、ついに!
「完成だー!」
「やっと終わったかー」
今まで、改造に手を抜いていた分を今日1日ですべて終わらせる事ができた。これで、やっと俺の描いていたチェイサーが完成した。
「長かった……やっと完成した」
「良かったな。すっしー」
たーちゃんも俺のチェイサーの完成を、祝福してくれた。改造にかけたお金は、総額50万。随分かけたな。オレ。
「もう、外も暗いし、早速ライトつけてみようぜ!」
「そうだな!」
改造に夢中だったせいで気付かなかったが、辺りはもう日が落ち、真っ暗だった。
「じゃあ、つけるな」
「おう!」
ブルルルルルンッ! ボボボボボボボボッ!
あぁ~、この音、たまらねぇぜ!
「ではでは、早速……」
俺は、ライトのスイッチを回しライトをつけた。
……
「たーちゃん……」
「すっしー……」
俺とたーちゃんは、お互いに顔を見合わせ、タイミングも別に合わせたわけではなく、同時にこう叫んでいた。
「「これ、ピンクじゃねーか!!!!」」
※買い物をするときは、しっかり確認してから買いましょう。
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