ⅶ
それからほどなく。
都内某所。
無垢材でできた装飾の一切ない道場。
数多の蝋燭の光。
そして、白い法服を纏ったたくさんの人々。
「宗主様がお見えだ」
青年の形をした白い影は人々のあいだをゆったりと歩み、白木でできた玉座に坐すと、厳かに告げた。
「さあ、清めの時です」
「心を静めて自分自身と向き合うのです。そして、不要かつ不浄な情報があふれる汚濁に満ちた世界と決別しましょう」
まるで音楽のように深みのある声が響くと、会場は静かな祈りに包まれた。
聴衆の魂は平穏だった。ただひとり、宗主と呼ばれる青年を不審げに見つめるひとりの女子大生、知念なぎさをのぞいて。
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