恋の心、色とりどり

えってん。

この恋をどうすればいいかわかりません。

第1話 この恋をどうすればいいかわかりません。

誰かと出会って、その人を好きになる確率を調べたらとんでもない数字だった。


さらにその人が自分を好きになって付き合える確率もついでに調べたら、もっとすごい数字だった。


その先のことを調べようとしたけど結果が怖くて、聞き慣れない確率に頭が疲労を訴えてきたので止めた。


要するに何をいいたいのかというと、


今、私には、その確率を乗り越えて晴れて恋愛を結んだ相手がいる。


17年目にして初めて出来た、彼氏。


けどこれが、確率をクリアしたからといって努力を怠っていいわけではなかった。


はなから努力無しに何か出来るとは思ってはいないけど、片思いから両思いにランクアップしたら何かが変わると思ったのに。


自分も好かれているのだと、無条件で思えることが出来ると思っていたのに。


実際は、全く違っていて、片思いの方が心の平穏を保っていられたかもしれない。


分からないのだ。


全く、何をどうして、どうすれば彼氏彼女というポジションを確立できるのか、彼女の役割をどうこなせばいいのか。


そもそも、その役割自体が分からなくて、身動きとれない日々が続いています。



「...あーー、ぅうーー、うー、うー」


もうかれこれ数10分、二年F組の教室をでたり入ったりと不審な行動を繰り返している私は西野谷にしのやみはね17歳。


最近、分不相違にも彼氏が出来た私は勇気を振り絞る前の勇気を振り絞っている最中。


そう、


部活が休みだという彼氏、の、教室へ、一緒に帰ろうと誘いに行くために勇気を振り絞っている最中なのだ。


一ヶ月前、これはもう何を血迷いどこからそんな勇気を引っ張り出してきたのか思い出そうにも思い出せないあの日、私は一年の頃から思いを寄せている同じ学年の朝日光輝あさひみつき君に死ぬ気で告白した。


朝日が光り輝く、そんな神々しい名前にぴったりの彼は私なんかに校舎裏へ爽やかに呼び出され、「彼氏になってくださいっ」との申し出を普通に受け入れてくれた。


“いいよ?”


にっこにこ笑って、可愛い八重歯を見せて、彼氏になることを承諾してくれたときはほんとに信じられなくて。


自分で告白したくせに、私は大きな声で「えぇーーーっ!!」と返してしまった。


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