七龍の契約者

@Light1118

第1話

気付くと上下左右…どこを見ても真っ白でどこまでも続く世界に俺はいた。


「…ってか、ここはどこだ?俺は、確か家で……。」


20歳になったばかりの昨晩…俺は、急に胸が痛くなって救急搬送された…。そこまでは覚えてる…でも、その後は?何がどうなったんだ?もしかして死んだのか⁉︎


「はい。そうですよ?何を言ってるんですか?」


「えっ⁉︎」


振り返るとそこには絶世の美女が、困惑の表情で立っていた。


「霧谷龍也さん、あなたは先程急性大動脈解離で亡くなられました。困惑されているかと思いますが、あなたに二つの選択肢があります。どちらにするか決めて下さい。

一つは、このまま同じ世界に裕福な家庭に転生するか…もう一つは、世界の理が異なる世界…貴方の世界の言葉で言うと所謂異世界に転生するか?どちらがよろしいですか?」


俺は、いきなり死因を告げられて茫然としていた。

いかんいかん…まずは状況把握だ。

首を振って考え直す。

まず、この人は誰だ?てか、この人なんか転生とか言わなかったか?


「はい、その通りですよ。私は転生させるといいました。あと、私は貴方の世界の女神をしていて、フィーナと呼ばれています。以後お見知り置きを。…で、どうされますか?」


……⁈

ちょっと待て‼︎俺の心を読まれた⁈やっぱり転生⁉︎

ここは死後の世界ということか‼︎

転生する先の世界はどんなところなんだ⁈


「あの…思考を巡らしているところ申し訳ないのですが…少しよろしいですか?…貴方の今の状況は言わば精神体、心そのものなのです。ですので、確かにあなたの心を読むことはできています。でも、折角なのでしっかりと私の顔を見て話してくれませんか?」


ハッとして、顔を上げると女神…フィーナは、少し不機嫌そうに俺の顔をみていた


「あっ、すいません‼︎ちょっとまだ信じられなくて………でも、死んだって本当なんですね…。良く分からないですが、事実なんだってことは不思議と分かります。心を読んでいたなら分かると思いますが、異世界とはどんな世界なんですか?」


謝罪するとフィーナは、笑顔に変わっていた

そして、思い出したようにハッとした表情を浮かべる


「転生先の世界の名前は、ウェルスガイアといいます。簡単に言うと剣あり魔法あり魔物ありの世界ですね。そちらに転生するなら記憶はそのままで転生させてあげますよ。」


「えっ⁈マジですか⁈します‼︎それでお願いします‼︎」


実のところ、俺は、ラノベやアニメといったサブカルチャーが好きな部類だった。所謂隠れオタクだ。

だが、周りの目が怖くて普通を装っていたのが実情だった。


ある意味ついてるな‼︎そんなことがラノベ以外であるなんて…ヤバイ‼︎ワクワクしてきた…‼︎


「喜んでいただけたのなら幸いです。…はぁ〜、だからちゃんと言葉で話してくださいよ。子供の頃に顔を見て話すように習いませんでしたか?」


再び不機嫌に頬を膨らませるフィーナ…少しドキッとしたのは秘密だ…。


「あー‼︎すいませんすいません‼︎気を付けます‼︎…で、俺はどんな家に転生できるのですか?それと、何か能力的なものをもらえたり…というのは…?」


チラッと頭を下げながらフィーナの顔を覗き込むと

フィーナは右手を頬に添えて首を傾けていた


「そうですね…生まれるところは、こちらで指定できません。0歳から生まれ変われること自体がすごい能力じゃありませんか?あとは貴方次第です…でも、そうですね…少しだけオマケの能力と職業ジョブを与えましょう。」


そりゃそうだよな…不運にも事故になったとか、神様の間違いで死んだとかじゃないし…職業ジョブ?まぉ〜よく分からないけど、そんだけもらえれば儲けものだよな…


「そうですね。わかりました!そんなにしていただいて嬉しい限りです。それで転生よろしくお願いします。」


パッと顔を上げると、フィーナは汗を流しながらアタフタしていた


「どうしました?」


声をかけると、フィーナはハッと俺の目を見る


「えっ⁈いや、なんでもないですよ‼︎そうですね‼︎いざ行きましょう‼︎新たな世界へ‼︎」


……。

キャラが崩壊してるぞ…この女神…。

まぁいいや!普通の家庭でありますように!


そうして俺の意識はブラックアウトしていった…。



ー女神フィーナサイドー


「はぁ〜…行ったみたいね。危なかった〜……。流石にテンプレ的に『隣に住んでたお爺ちゃんが死ぬはずだったのに、寝ぼけて部屋を間違えた。』なんて言えない…。あんだけサービスしたんだから大丈夫よね?」


私も、威厳あるように振る舞えてたわよね?堂々とできていただろうし問題ないでしょ‼︎

…うん‼︎大丈夫なはず‼︎…さて、仕事に戻ろーっと‼︎




…この事実を、龍也が知るのはまだ先の話だった…。

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