ループ・ヘルプ

メルケン

第1話 きっかけは…

大学2年の夏休み、俺には好きな人がいた。一方通行の片思いで、まだ自分の気持ちを相手に伝えれていない。世に言う草食系男子というやつだ。しかし俺も大学2年だ。告白しないなんて何が20歳だ、お酒が飲めるだけが20歳じゃない。大人というものを見せてやる。そう決意すると、あっという間に告白の日はきた。時間が経つのって早いよね。特に楽しみにしてる事柄については時間の経過が早い早い。二人きりの時間と告白ムードを作り自分の気持ちを伝えようとした時、彼女が彼女の思いを伝えてくれた。

「私ね、好きな人がいるの。」

それを聞いた瞬間俺の頭の中は真っ白になった。夏休みの計画が全て無駄になり、全てがどうでもよくなる感覚が俺を襲った。返せ俺の決意、俺の恋、俺の夏休みの計画。そんなことを考えている時も彼女は自分の思いを淡々と語っていた。もうやめてくれ、そう思った瞬間だった。本当に一瞬の出来事だった。目の前で彼女はトラックにひかれた。こっちに向かってくる。こんな時、スローモーションのような描写とかを体験するだろうが現実は違う。本当に一瞬の出来事だった。俺もひかれた。

気がつくと目の前は真っ暗だった。これは死んだな。俺の人生ここまでか。彼女作って、サークルとか楽しんで、思い出に残る大学生活を過ごしたかったなぁ。どうせなら就職して家庭持って、老後は孫と遊んで幸せに死にたかったなぁ。そんな後悔を並べているとスマホのアラームの音が鳴り響いてきた。死んだのになんでこんな音が聞こえるんだろう。すると目の前に白い光景が広がった。だんだんと光が広がっていく。眩しい。次の瞬間、激痛が俺の頭を襲った。痛みをこらえながら目を開くと、そこには、いつも見慣れた一人暮らしで借りている部屋の天井があった。

「あれ、俺、死んだんじゃ…。」

自分の口からポロリとその言葉が出てきた。

あれは夢なんかじゃない、夢にしてはよく覚えている。いつもは覚えてなくて内容は曖昧だ。そうだ今日は何日だ?いやでも車にひかれたら普通入院してないか?

スマホを見ると日付は8月1日だった。

「いや、嘘だ、待て、でも、痛い、夢じゃない、現実だ、なんで、そんな…」

自分の記憶をたどる。8月1日、確か朝にLINEの通知がくる。同じ学部の友達の八木良介からで、内容は確か今日が暇かどうかだった気がする。

だんだんと気持ちに整理がつき、それに比例して感情が高くなる。LINEがきた。

(良介)・今日暇か?

そして口にした。

「過去に戻ってる。夢なんかじゃない。」

良介に、送る

(修作)・話したいことがある。

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